第10話 豚のエサ
夏の夜。
田舎の畦道。『ゴミ捨て場』と書かれた立て看板がある。
立て看板の前に背の低い半ズボンの少年がレジ袋を持って立っている。中にはにんじん、ナス、ピーマン、など野菜が入っている。少年はびくびくしている。最近、この場所の近くで叫び声との噂があり、それに怯えているからだ。
「不味い野菜なんか捨ててやる!」
そう言って袋を投げ捨てた。
「あああああ!」
悲鳴がして、少年は逃げるように去った。
夜。
一面、土の茶色。
土の上にピンクのかごがあり、そこに汚くてボロボロのにんじん、ナス、ピーマン、などの野菜が入っている。その周囲には十匹ほどの豚が集まっている。豚たちは汗をかいていて、油ぎっており、「ふんぐ、ふんぐ」と何度も鼻を鳴らしている。
にんじんがナスに言った。
「僕たちはこの下品な豚たちに食べられちゃうの? 嫌だ! 嫌だよ! 来ないで!」
ピーマンがつぶやく。
「俺たちは捨てられた野菜なんだ。しょうがないだろ。豚飼いのおじさんに拾ってもらって豚のご飯として再利用してもらえるだけでもありがたいと思わなきゃ……」
ナスが悲鳴をあげた。
「近づかないで! 舌で触れないで! 汚い! あああああ!」
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