第4話 天才的な頭脳を持つ悪魔

研究所の中にある薄暗い部屋。

天井も壁も床も灰色の硬いコンクリートだ。

奥に大きなホルマリンがあり、その中に真っ黒な脳みそ。その横にコンピュータがある。コンピュータの前に椅子があり、そこに一人の研究者──香取瑛人が座ってコーヒーを飲んでいる。瑛人がコンピュータのパネルを見ると、文字が表示されていた。

『今日、やるべきことはなんだ?』

瑛人はちらっとホルマリン漬けの脳みそを見て、コンピュータのキーボードを叩く。

脳みそは死んだ悪魔のものだ。数十年前、地上を荒らしていた悪魔。人類は悪魔と『脳みそと精神を永遠に生かし続けるので働いくれないか?』と提案し、交渉が成立した。メッセージでやり取りをして、意思の疎通を図っている。悪魔の主な仕事は、主に人類の食糧問題に関してだ。世界は平和になり経済が発展したので人口が急激に増えた。

またパネルに文字が表示された。

『そうか。今の全人類の大まかな健康状態のデータを調べて、人類に必要な栄養素とそれを摂取出来る食品をリストアップして、それをまとめればいいんだな?』

数秒後、パネルに文字が表示される。

瑛人はそれを読んで呟く。

「毎月、やってもらっているが、この『乳鉛水』ってなんだ? 多くの栄養素を摂取出来るみたいが」

パンパン!

「うわああ!」

部屋の自動ドアが突然、開き、拳銃を持った男たちが入ってきた。

瑛人が言った。

「なんなんだ、君たちは!」

瑛人はすべてを理解した。

悪魔は食品を通して自分の精神を人々の中に入り込んで、人々を操って暴力に駆り立てたのだ。恐らく、世界中で暴力行為が行われているだろう。

瑛人は呟く。

「せっかく平和になったのに……」

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