第30話 部屋
夕方。
住宅街にある三階建てのアパート。
二階の外の廊下を二人の女性が歩いている。二十代前半の女が言った。「隣の部屋には人がいないのに、変な物音と叫び声が聞こえたんです! 気のせいなんかじゃないですよ! 絶対! 」
四十代半ばの女──管理人がその部屋の前に立ち、鍵を鍵穴に差し込んで回し、ノブを掴んで玄関ドアを開けた。
老婆が部屋の中に入る。その後ろには中年の女がいる。
部屋の中に入ると、寝室へ向かうとベッドの側で少年が首に包丁を刺して死んでいた。青年の指は両手共に六本だ。老婆は床に落ちている手紙を拾って読んだ。
『僕はこの指のせいで高校でいじめれた。こんな姿に産んだ母を恨む』
四十代半ばの女と二十代前半の女は、なにも言わず部屋を出た。
四十代半ばの女は、気晴らしに彼氏にスマートフォンで連絡を取り、外食に行くことにした。
二人はファミレスの前で合流した。
店内の隅にあるテーブル席に向かい合うようにして座る。
彼氏が言った。
「僕たちが結婚したらどんな子が産まれるんだろう? ごめん、気が早すぎたよね。……でも、健康だといいね」
「いいえ、私たちの子は他の子と異なる身体的特徴を持つわよ」
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