第27話 男色
夜。
ホテルの一室。
大きなベッドで少年が寝そべっており、その側で青年が服を着ている。ベッドの近くにはテーブルがあり、その上にバッグが二つ置いてある。
少年は言った。
「今までお世話になりました。僕、このご恩を忘れません」
少年は青年の愛人だ。少年は来週から青年が勤めている大企業の齢九十歳の会長のものになる──つまり、愛人を上司に奪われた。
「いいさ、俺は病人。このまま病気が進行して死ぬしかない。死ぬまでに一度、会社のトップになりたいのだが……」
青年はそう言いながら唇を噛む。
(やっぱり、俺のものを人にやるのは悔しいな)
「お前は病気や体調をくずしたりしてないか?」
「最近、具合が悪いことが多くて……いえ、心配しないでください」
青年は、性病の進行を送らせる薬の入ったバッグを持って部屋を出て、廊下で呟く。
「病気になった以上、会長もにうつしてやる。老人なんだからすぐに死ぬだろう。仕返しだ」
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