第28話 名もない少年
黒い夜空。
砂漠を白い軍服を三人の男たちが歩いている。全員、不安な気持ちを抱えてる。化け狐が出てくるという噂があるからだ。新人の兵士達だ。一番背が高い男が目を細めて遠くを見て指差し、言った。
「あそこで誰かが倒れているぞ!」
三人は倒れている人の側へ言った。十代前半の少年がうつ伏せになっている。身ぐるみ剥がされていて裸で、身体中に痣、背中には鞭で叩かれた傷痕がある。三人は軍のキャンプへ連れていった。
少年をシートの上で寝かせて三人で見守っていると、目を覚ました。
一番背の低い男が質問した。
「君の名前は?」
「……」
少年は口をつぐむ。
三人の内、最も太っている男が言う。
「お前の名前は、今から『ロメル』だ。我らの軍のために働け。そうすれば衣食住を提供し、給料もやる」
他の二人の男は『優しすぎる』と思った。
ロメルは掃除や調理など兵士のサポートをすることになった。
ある日、砂漠のキャンプの側で空を見上げていると、目の前で少年が倒れていた。
ロメルは両足を砂につけて肩を掴んで揺さぶり言った。
「君の名前は?」
「ロメル……。軍隊に言いように使われて、戦場に送られたんだ」
「僕と同じ名前だね。……元々、名前はなかったけど、異名はあった。僕は『化け狐』だ。テロ活動をしてたら捕虜になって拷問にかけられたけど、なんとか脱走して生き延びたんだ」
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