第20話 救世主殺し

青い空。

白い雲の上。

たくましい髭の男──神が、雲の上に寝かせている赤ん坊を見ながらうーんと唸る。赤ん坊の背には鳥の羽、ワニのような口。

側にいる天使が神に聞いた。

「なにをしてるんですか?」

「今、地上にいる人間どもは情けないので、優れた人間になりうる赤ん坊を作って、人間に産ませるのだ。噛む力が強いワニの口と、空を飛べるように鳥の翼をつけたが、あとはなにをつければいいだろうか?」

「イルカの頭をつけてみては? 賢くなると思います」

神は赤ん坊にワニの口と鳥の翼、イルカの頭をつけて、地上に送り出した。

人間たちは産まれた赤ん坊を気味悪がって殺してしまった。

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