第16話 外界からの拒絶と

☆双葉サイド☆


私はお姉ちゃんがとてもとかじゃないが憎い。

それは浮気もそうだが.....。

だが私はお姉ちゃんが好き。

これは50/50という感じだ。

気持ち的に100%中そう思える。


だけど今の気持ちは。

とにかくお姉ちゃんは何であんな事をしたのか、という怒りしかない。

考えながら私は帰宅する。


それからお姉ちゃんの部屋に向かった。

因みにだが私の部屋と。

お姉ちゃんの部屋は並んでいる。


目の前に階段がある方が私の部屋。

奥がお姉ちゃんの部屋。

そんな感じだ。


「お姉ちゃん」

「.....うん」

「何をしに行ったの。教科書買いに行ったって話だけど」

「そうだね。それ以外にも絵を描こうって思って」

「?」


私はドアを開ける。

すると目の前でお姉ちゃんは画用紙で何かを描いていた。

私は、???、を浮かべて更に聞いてみる。

何でいきなり絵なんか、と。

そうしているとお姉ちゃんは、私は絵は好きだよ。小学校時代にコンクールで金賞とか受賞したんだよ?、と笑みを浮かべる。


「.....それ初耳だけど」

「言う必要性も無かったから。だから私は言わなかった」

「そう」

「双葉。どうしたの?用事だよね?」

「うん。まあ用事というか。監視とか。お姉ちゃんを」

「.....そっか」


苦笑するお姉ちゃん。

そう。

監視しないといつまたお兄ちゃんを傷付けるか分からない。


思いながら私はお姉ちゃんの部屋のベッドに腰掛ける。

どっから持って来たのか知らないがお姉ちゃんはベレー帽を被っている。

私はその姿を見ながら、ふむ、と思う。


「私は反省したけど。だけど監視もついているから。だからまだまだ完璧じゃないって事だよね」

「今までの行為がね。信頼度が0だから。.....当たり前だよね」

「そうだね。だからこそこうして絵を描いている」

「だからこそ?」

「私は.....1人になった方が良いと思うから」


その言葉に私は真剣な顔をする。

外界を遮断する唯一の方法か。

思いながら私は画用紙。


というかスケッチブックに絵コンテしているお姉ちゃんを見る。

確かに絵は上手い。

クマのぬいぐるみがちゃんと影などがあるから。

凄いと思う。


「上手いね」

「.....意外でしょ?」

「.....そうだね」

「双葉とはこうして内緒であるものを共有出来たらって思う。.....絵描いたの5年ぶりぐらいだけどね」


私はその言葉に考える。

するとお姉ちゃんは、佳代子ちゃんの事だけど、と切り出す。

それからコンテを置いて私を見てくる。

佳代子ちゃんは.....お姉ちゃんを失っているんだね、と向いてくる。

私は、そうだね、と返事をする。


「それはその。.....原因が本当に分からないの?」

「佳代子は何も話さないけど。でもきっと知らないんだと思う。自殺原因は」

「.....そうなんだね」

「もしかして昴さんの事を聞いたの」

「糸永先生からね」

「.....?」


昴さんは糸永先生の教え子だったんだって、と私に言ってくるお姉ちゃん。

私は、!、と思いながらお姉ちゃんを見る。

それは知らなかった。

佳代子が話さないから、だ。

私はまるで電磁波でも受けた様な衝撃を抱えながらお姉ちゃんを見る。


「.....昴さんはとても有能な人だったんだね」

「うん。とても天才だったんだと思う。IQが120は超えていたらしいから」

「そうなんだね。.....そんな人が何で自殺したのか」

「その理由は知らないって言っているけど。.....当時の警察も遺書は見つかってないって言っている」


そう私は話しながら窓から外を見る。

するとお姉ちゃんは、そっか、と複雑な態度を取る。

私はその姿を見ながら居ると。

お姉ちゃんは、あ、そうだ。ねえ、と切り出してくる。


「9月27日は何の日か覚えてる?」

「何の日?お姉ちゃんの誕生日でも無いでしょ。私の誕生日でもない」

「えー。私達が本当に初めて会った日だよ。覚えてないのー?」

「初めて.....会った日ってそれは喫茶店で会った日って事」

「そうだよ?それから.....4年は経つよ」


確かにそうだ。

9月27日に初めて再婚する前に会ったのである。

お姉ちゃんに、だ。

そしてお姉ちゃんの家族に。

私はそれを思い出しながら、でも会社の同僚同士が結婚って珍しいよね、と笑みを浮かべる。


「.....私が馬鹿な事をしなければもっと良かったけどね」

「それは言える。お姉ちゃんは馬鹿だった」

「そうだね」

「.....ねえ。お姉ちゃん。本当に何でこんな事をしたの」

「正直に言うと(姉)という重圧が凄かった」


姉になるっていう重圧がね、と深刻そうな顔をするお姉ちゃん。

私は、分からない、と首を傾げながらお姉ちゃんを見る。

するとお姉ちゃんはコンテに触れながら、私は双葉の良いお姉ちゃんになれるのか、っていう.....その。私自身へのストレスがあった、と答える。

これが第一の理由、とも。


「決して嘘は吐いてないけど。でもこの理由は話さなくても良いかなって思っていたけど。でももう信頼度0だし。何をしても同じと思って話したよ」

「あのね。お姉ちゃん。何でそういう事をする前に私に話さなかったの。家族とか」

「そうだね。.....双葉。私はね。小学校時代に不登校だったの」

「?」


これも話してなかったけど3つ目の理由だね。

絵に出逢い私は運命が変わったんだよね。

嫌な事を全て拒絶出来たから。

でも自転車の事故で右手を骨折して絵が思い通りに描けなくなった。


言い訳をするつもりは無いけどその時から趣味を奪われて地獄だったから。

だけどその中で雄大が支えてくれた。

でもね私は.....私は、と沈黙するお姉ちゃん。

私は盛大に溜息を吐いた。


「大変なのは分かるけど相談してほしかった」

「そうだね。それは言えると思う。馬鹿野郎だったよね」

「.....でも小学校時代にそういう事があったんだね」

「言い訳にしかならないけどね」


お姉ちゃんはそれから沈黙する。

私はその言葉を受けながら考える。

それから周りを見渡す。

成程ね。それでこの様な画用紙の絵がいっぱいあったのか、と納得した。

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