第7話 何の為か考えろ

☆雄大サイド☆


一葉が何を考えているか全く分からないが。

そんな考えの下に居て遂に翌日になってしまった。

俺はゆっくりと起き上がる。


それから準備をしてから朝食を取ってから親父とお袋が先に出ているのを見てから。

そのまま鍵を掛けて歩いていると目の前にその女は現れた。

まるでふと現れた様に。


「雄大」

「.....よお。どうしたんだ?」

「うん。何だか雄大に真っ先に会いたくて」


正直どこまでが本当かすらも分からない。

思いながら俺は一葉を見つめる。

すると一葉は、何だか双葉の様子がおかしくてね、と笑みを浮かべる。

そして、何か知らない?、と聞いてきた。


「分からないな。どうしたんだ?双葉は」

「うーん。何でか分からないけど私を控えている様な?」

「.....」


それはお前のせいだろうな。

思いながら俺は見ていたがここで察されてもマズイか。

そう考え俺は一葉に、まあ双葉だから、と笑みを浮かべてから歩き出す。

言い忘れていたが季節は9月である。

少しだけまだ暑さがある。


「暑いねぇ」

「そうだな。大丈夫か」

「うん。大丈夫だよ。雄大」

「双葉はどうしたんだ?アイツは」

「そうだね。双葉なら先に行くって言って先に行った」


そう言いながら俺にニコッと笑みを浮かべる一葉。

そうか、と返事をしながら複雑な顔になる。

コイツからは悪びれる様子も感じない。

一体コイツは何を考えている。


「一葉」

「何?雄大」

「最近お前も忙しいよな。どうしたんだ?」

「忙しい、か。そうだね。習い事とかあるしね」

「.....それは確かにな。確かお前は.....」


そう。空手やってる、とニコニコする一葉。

そういやコイツは黒帯だったな。

空手のかなり上に位があるぐらいに。

思いながら俺は、そこまでやっている癖に何故浮気なんか、と思いながら中身に迫る事にした。


「なあ一葉」

「今日は質問が多いね。雄大。何かなぁ?」

「いや。空手は楽しいか」

「雄大もやる?空手。楽しいよ?」

「断る。.....すまないが俺は受け付けないと思う」


そっか、と一葉はちょっと残念がる様な顔をする。

子供で言えば流れ星への願い事が叶わなかった様な。

そんな顔だ。

俺はその顔を見ながら顎に手を添える。

それから、お前が幸せそうなら良かったよ、と答える。


「うん。雄大は何か幸せな事はあるの?」

「幸せ?そうだな。俺はライトノベルを読んでいる時だな」

「もー。そこは私と一緒に居て楽しい、でしょ」

「.....そうだな」


俺は少しだけまた複雑な顔をする。

そして考え込んだ。

それから歩いていると高校に辿り着く。


そうしてから歩いていると友作が俺達に声を掛けてくる。

坊主頭にそばかすの男。

この野郎め。


「ハロハロー」

「友作.....後で話があるんだが」

「お?どんな話だ?」

「良いから。話がある」


それから俺は友作をジト目で見る。

すると友作は何かをハッとした様な感じで反応する。

そしてニヤッと反応した。

何でそんな反応になる。


「.....あ。先に行っていて良いぞ。一葉」

「あ。エッチな話?」

「違う。去れ」


はいはいー、と言いながら一葉は去った。

俺はそれを見計らってから友作を見る。

お前のせいで碌な目に遭ってない、と友作に言うと友作は、まあ良いじゃねぇか。エロ本の一冊ぐらい、と何の事か分かった様だった。

その言葉に、友作。お前なら信じているから話す、と向く。


「何の話だ?エロい?」

「実はな。一葉に浮気疑惑があってな」

「それはまた予想外だな。.....そうか。浮気か。でもそれはだいぶは噂になっているよな?」

「何だお前も知っているのか?噂?」

「ああ。一葉ちゃんは簡単に股を開く野郎だって話だが。本当かどうかはお前に聞いてみようって思った所だったが。だいぶ本当な気がしてきた」

「.....信じられない」


俺は眉を顰めながら友作を見る。

困ったな、と思いながら。

すると友作は、別れたらどうだ、と提案してくる。

そして俺を真剣な眼差しで見てきた。

手遅れになる前に対処した方が良いぞ。お前は優柔不断な面があるから、と諭す様に話し掛けてくる。


「.....俺も協力する」

「実はその事だが。.....双葉と一緒に復讐しようって話になっているんだ」

「復讐ね。それは理解出来る。でもそれは本当に為になるのか?」

「そうだな。俺としては双葉の事があるからさ。だから為になろうがなるまいがやろうって思ってな」

「そうか。.....お前さんがやるってんなら止めないよ」


言いながら俺に目線を向けてくる友作。

お前がそう言うなら俺も協力はする、と言ってくれる。

だけど俺はそれを首を振ってから否定する。

良いよ、と言いながら。


「お前まで地獄に落ちる必要はないぞ」

「友人が地獄に落ちそうになっているのにそれを指を咥えて見てろって話か。冗談じゃないぞ」

「気持ちは分かる。だけどな。お前まで落ちる意味はない」


でも友作、と俺は友作を見る。

お前には協力してもらいたい事がある、と向く。

それから、復讐はしなくて良い。アイツの。一葉の気になる点を掴んだら知らせてほしい。俺にな、と言葉を発した。

すると友作は暫く考える仕草をしてから俺を見る。


「合点承知」

「頼む。じゃあ教室に行くか」

「そうだな。なあ。長谷川」

「?.....どうした」

「俺にはお前のやる復讐には意味が無いって思う。何故なら一葉ちゃんは既に腐っているしな。だから俺の考えも頭の片隅にでも置いておいてくれるか」

「.....分かった」


友作は笑みを浮かべる。

それから俺達は教室に向かう。

そしてドアを開ける。

そうしてから俺は自分の席に向かった。

複雑な思いで。

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