第6話 嫌悪

☆雄大サイド☆


一葉が何を考えているかまるで分からない。

だけど一葉は多分間違いなく浮気をしたと思う。

でも一葉は何も感じない様な。

痛みも苦しみも全く感じない様な平然とした顔をしている。


何故なのか。

アイツには俺の苦しみがどれ程なのか分かってほしい。

そして.....双葉の苦しみも、だ。


だから俺たちはそういう事もあり一葉に復讐する事にした。

双葉は心から許せないと言っている。

俺もそれは同意見だった。


アイツにとっては海に乳酸菌飲料を落としたぐらいの気持ちの薄さかもしれないが。

俺達にとっては乳酸菌飲料を濃いまま飲まされる濃さ。

そんな横暴な感じに思える。


絶対に許せない。

そんな気持ちが俺達の中にはあった。

だからこそ俺達は復讐する事にしたのである。

俺達はアイツの行動を認めない。

その様に。


「.....」


俺は夜、自室でライトノベルを読んでいた。

そして疲れてきたのでライトノベルを置いてから。

伸びをして寝る事にすると。

スマホにメッセージが入ってきた。

それは双葉からだ。


(駄目だね。あの人。まるで反省してない様な気がする)


そんな感じで落胆した様な怒った様なそんな文章が綴られてきた。

俺はその文章を読みながら経済新聞でも読んでいるかの様に眉を顰める。

それから、そうか。お前も協力してほしい。証拠を集めるのに、と文章を打ってから送信した。

すると双葉は、そうだね。私は私にしか出来ない事があるから、と文章をそのまま書いてくる。


(私はお姉ちゃんの証拠を掴むよ)

(そうか。お前にも任せるぞ。半分)

(今お姉ちゃんはお風呂なので鞄を漁ってるしね)

(お、おう。激しいな)

(姉妹だしね)


姉妹だからこそ許されるって訳じゃないと思うが。

思いながら待って居ると、プリクラがあった、と文章が送られてくる。

そして日記帳だね、という感じでも.....文章がきた。

俺は生唾を飲み込む。

そして、何が書いてある、と聞いてみると写真が送られてきた。


そこには見知らぬ男とツーショットでプリクラを撮っている一葉が。

俺は額に手を添えて盛大に溜息を吐く。

そして沸々と怒りが湧いてくる。

浮気だな。


(何でこんな目立つ事をしているのかわかりませんが。バレないとでも思ったのかな)

(まあそうだな。取り敢えずお前も気を付けろよ。アイツにバレない様に。ややこしい事になるぞ)

(そうですね。あー.....穢らわしいなぁ)


落胆した様な感じで文章が送られてくる。

俺はその文章を見ながら、そうだな、と文章を送る。

するとまた文章が送られてくる。

予定も刻まれてるね、という感じで、であるが。


(この日、追って行こうかな)

(お前本当に気を付けろよ。.....何かあったら呼べよ)

(そうだね。でもはっきりさせる為にもこれは必要事項だから)

(分かる気もするが)


まあどっちにせよお姉ちゃんは浮気してますね。

だから私はそれをはっきりさせる為にも追うよ、と言葉を書いてくる。

俺は、そうか、とだけ送る。

その日程は何時なんだ、とも書いた。


(この日程は今週の土曜日だね)

(しかも俺とのデートの約束の1日前かよ。マジか)

(最低だね。.....流石はお姉ちゃん)


言いながらスタンプを送ってくる双葉。

俺はそのスタンプを見ながら、あ。風呂から上がって来た、と文章が送られてきたのを見る。

じゃあね。お兄ちゃん、と切れた。

俺はスタンプだけ送ってからそのままスマホを閉じてから寝転がり天井を見上げる。


☆双葉サイド☆


やはりお姉ちゃんは浮気だった。

いずれにせよ最低だと思う。

考えながら私は日記帳を仕舞い。

髪を乾かしてケアをするお姉ちゃんを見る。


こんな人はお姉ちゃんではない。

そんな事を考えながら視線を投げる。

そうしているとお姉ちゃんが、どしたの?、と聞いてくる。

私は、いや。やっぱりいつ見ても髪の毛が綺麗だなって思って、と説明する。


「この髪も大変だよ?何か丸くなるし」

「そっか。私はそんなの無いしね。直髪だしね」

「そーそー。だから羨ましいよ?正直言ってね」


そして私の髪の毛に触れようとする。

それを私は払い除けてしまった。

何か触られるのが嫌だったから、だ。

すると、あ、ゴメン。触られるのが嫌だった?、とお姉ちゃんが見てくる。


「そ、そういう訳じゃないよ。ゴメン。お姉ちゃん。ただ今日は何か.....触られる気分じゃなかったから」

「そう?そうだったんだね。ゴメンゴメン」

「.....」


だが正直言って私は嘘は吐いてない。

触られるのが嫌だった。

目の前のこの女に。

考えながら私は離れて行くお姉ちゃんを見る。


「私も触られるのが嫌な時もあるからねぇ」

「そうなの?お姉ちゃん」

「そうそう。私だって女だしね。何か警戒する時もあるよ」

「そうなんだね」


お姉ちゃんはどこまでもお姉ちゃん。

心が揺らいでしまう。

ここで聞けば全てが終わる。

だが聞く気になれない。

敵と認識しながらも好きという認識。


私はどうすれば良いのだろうか。

思いながら私は髪を梳かしたりしてケアするお姉ちゃんを見る。

正直最低と思ったりもするのだが。


だが心がギシギシと悲鳴を挙げている。

正直言って今の気持ちは表現が出来ないが。

敢えてするとするなら。


子供が産まれた後の旦那に接する奥さんの様な。

そんな感じだった。

あれは産後.....何だっけ。

名称が分からない。

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