第12話 意志の弱さ

☆双葉サイド☆


私のやっている事はズレてないと思っている。

だが何だかここ最近。

私もお姉ちゃんの影響を受けて何かが狂ってきている様な気はする。

思いながら私はお兄ちゃんを見てみる。

それから眉を顰める。


「お兄ちゃん」

「?.....どうした?」


玄関を閉めるお兄ちゃん。

私はそんなお兄ちゃんに聞いてみる。

その。私は頭おかしいかな、と。

そんな言葉にお兄ちゃんは、!、となりながら見てくる。

そして私に向いてくる。


「正直に言うと.....お前の行動は少しだけ焦っているとは思う。だけどそれは何かの影響じゃ無いかって思うんだが。お前の姉のせいとか」

「.....そうかな。.....私は何だか自分自身が侵食されている様な気分だよ」

「.....」

「それに私はお兄ちゃんが欲しかったらから行動しているけど。でもちょっと何かおかしいから抑えるつもりだよ。自らを。お姉ちゃんも正すつもり。もう何か復讐しなくても傷付きまくっているみたいだけどね」


そう言いながら私は苦笑する。

そんな言葉にお兄ちゃんは、そうか、とだけ答えてから。

そうしてからそのまま歩道を歩きはじめる。


すると。

目の前にフラフラして歩いているお姉ちゃんが居た。

私は、!、と思いながらお姉ちゃんに声を掛けようとしたが。

その前にお兄ちゃんが声を掛けた。


「オイ。一葉」

「.....雄大.....?」

「お前何でそんなにボロボロなんだ?睡眠不足か?」

「良いでしょ別に。放っておいてほしいかも」

「仮にもお前は知り合いだ。放っては置けないんだが」

「.....」


お兄ちゃんが顔色を見る。

私から見ても分かる。

何というか青ざめている感じだ。


コイツどうした?睡眠不足か、と聞いてくるお兄ちゃん。

それからお姉ちゃんに聞く。

お前睡眠取ったか、と。

するとお姉ちゃんはこう答えた。


「.....ずっと寝れなくて」

「?」

「.....鬱っぽくて」


その言葉にお兄ちゃんは溜息を盛大に吐いてから、自業自得だとは思う。お前がやったんだから。.....だけど流石に保健室行けよ。顔を見てられない、と告げる。

すると、まあそうだね、と答えるお姉ちゃん。

そしてそのままお姉ちゃんはさっさと歩いて行こうとする。

だけどそれもままならずに蹲った。


「.....ああもう。面倒臭い。.....おんぶするから乗れよ」

「でも雄大」

「良いから早くしろ。体調の悪い奴を置いて行けるか。お前にも待っている人が居るだろ」

「.....!」


お姉ちゃんは私を見ながら。

私は肩を竦めてから、お兄ちゃんが言っているから早くしてあげて、と言う。

すると体調が悪そうなお姉ちゃんは、分かった、と言いながら背負われた。

私はお姉ちゃんの鞄を持つ。

そしてローファーを持つ。


「.....なあ。一葉」

「何.....?」

「お前なんで浮気したんだ」

「何でかな。私が愚かだったって事だよね」

「成績優秀。容姿端麗。そして.....それなのに何やってんだか」


お兄ちゃんは呆れる。

するとお姉ちゃんは、私が期待され続けていたから、と話を始めた。

そして、成績が優秀でだから親に嫌われるんじゃ無いかって思って。だからその分応えようって思って。そしたらこうなった感じだよね。胃痛もしてお腹も痛くて頭も痛くて。.....絶望しか無かったよ、と答えた。

それから泣き始める。


「目の前に雄大っていう人間が居るのも見えなくなっていた」

「お姉ちゃん。それはそれでもお兄ちゃんに黙って浮気したのは事実だから」

「.....そうだね。私は反省しかないかな」

「それにお姉ちゃん。貴方は浮気相手の人と会ってないだけみたいだけど」

「.....うん」

「お姉ちゃん。それは意志が弱い」

「.....うん。そうだね」


何で二度と会わないって選択肢は無いの?、と私は苛立ちながら聞く。

するとお姉ちゃんは、私が弱いからだよ、と涙声を発する。

私は呆れながら、本当に病院で診てもらった方が良くない?、と話す。

その言葉にお姉ちゃんは、そうなのかな、と言葉を小さく呟いた。


「正気の沙汰じゃないと思う」

「.....」

「お姉ちゃん。現実から逃げているよね。この現実はそんなに甘くないよ」

「分かる.....けど」

「私は貴方を尊敬していた。なのに何で?」


泣きじゃくるお姉ちゃん。

そしてそのまま高校に到着してから私達は保健室にお姉ちゃんを預けてから。

そのまま別々に教室に向かう。

その途中までお兄ちゃんはずっと複雑な顔をしていた。


☆一葉サイド☆


私は。

相当に愚かだったと思う状態だ。

だけど私はどっちの男性も魅力的なのだ。


だから別れるという選択肢は無いと思える。

だが双葉も雄大も呆れて私を見ている。

これが異常だ、と。


「私はどうしたら良いんだろうか」


そんな事を呟きながら私は窓から外を見る。

私は意志が弱い。

その言葉が深く心に突き刺さってしまった。

私はそんなつもりはなかったのだが.....。


「.....」


何というか。

私は何がしたいかはっきりさせなければならない段階に居るんだと思う。

変わらなければならない段階に居るのだろう。

でも私はどうしても捻じ曲がった考えを捨てれない。

そんなこんなを思っていると1時間が経過した様である。


「お姉ちゃん」


そんな声がした。

私は顔を横に向けるとそこに双葉が居た。

それから私を見ている。

その顔に私は前を見据える。


「少しは目が覚めた」

「そうだね。まあ多少は」

「.....そう」

「双葉」

「.....何。お姉ちゃん」


私を警戒する様に見てくる双葉。

その様子に私は複雑な顔をしながら見る。

お姉ちゃんとしての尊厳は0に近いな。

そう思いながら。


「私は不倫相手の人と別れようと思う」

「.....当たり前だよ、って言いたいけど。偉いと思う。それは」

「双葉.....」

「責めたら責めたで貴方は今自殺しそうだから」

「.....そうだね。若干だけでも責めてもらっても良いけど」


それから私は外を見る。

そして考え込んだ。

どうするべきかなんて。

分かる。

今こうするべきだって事が。

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