第13話 友作瑛一の過去と今と
☆雄大サイド☆
アイツというか一葉が浮気相手と別れるらしい。
正直言って一葉の信頼度はマジに0に近い。
だからそれが本当に自分の意志なのか。
それは.....分からない。
だけどまあ自らの口からそう出たのであれば。
必ず実行してほしいが。
でないとアイツの信頼度0のままだ。
正直言ってもう信頼度は取り戻せないが。
だけどそれでも0よりかはマシだろ、と思う。
思っていると友作がやって来た。
「長谷川」
「どうしたんだ?友作」
「一葉ちゃんはどうなったんだ?」
「ああ。あの野郎なら何だか浮気相手と別れるって」
「そうなのか?そういう結論になったのか?」
「正直嘘か本当か全く分からん。だけど本人の口から出たのであれば。実行してもらわないとアイツの信頼度マジに0に近い」
それは確かに.....、と友作は顎に手を添える。
そんな友作に聞いてみる。
お前ならどうする?、と、であるが。
すると友作は、俺は信頼度0の女は嫌だ。だけどな。本人が抗っているならそれを見届けるのも良いと思うぜ、と友作は向いてくる。
「.....アイツとは違うしな」
「お前の母親か」
「そう。アイツは浮気して逃げた。でも一葉ちゃんはそれなりに抗っている。ここは雲泥の差じゃないのか」
「友作」
「長谷川。これからまあ見ていけば良いんじゃないか。一葉ちゃんを。反省するとは思うけど」
「お前は相変わらず良い奴だな」
違うな良い奴じゃない。
俺は昔と重ね合わせているクズだ。
そういう事なんだよ、と友作は肩を竦める。
俺はそんな言葉に、いや。それにしてもお前は、と言葉を発してから。
飲み物買いに行くか、と途中で言葉を切り替えた。
「お?良いね。全部お前の奢りか?」
「乳酸菌飲料でも奢ってやるよ」
「そうだな。俺それ好物だしな」
「そうか。.....なら行くか」
そして俺は笑みを浮かべている友作と一緒に飲み物を買いに行く。
それから階段をゆっくり降りて行きながら。
そのまま重い足で自販機の前に立つ。
そうしていると女子と手が触れ合った。
今村である。
「あ。.....長谷川くん」
「今村。飲み物を買いに来たのか?」
「そうだね。一応飲み物を、って思って」
「そうか」
俺が苦笑すると今村が眉を顰めた。
それから俺に頭を下げてくる。
いきなりどうした、と聞くと今村はこう切り出した。
御免なさい、と。
俺は目をパチクリする。
「あの子。一葉について御免なさい」
「あ、ああ」
「若気の至りにしてはやり過ぎだから。だから友人として私も謝る。御免なさいって」
「なあ今村ちゃん」
「?.....友作くん?何?」
一葉ちゃんをどう思うの?君は、と友作は聞く。
俺は飲み物を買いながら今村を見る。
今村は、そうだね、と控えめに答えながら飲み物を買う。
それから俺達を見てくる。
あの子はどう思ったら良いか。どうしたら良いか分からない、という感じの顔で、であるが。
「.....私も何でこんな事をしちゃったんだろうって感じだから」
「そうなんだね」
「だから私は何も考えれない感じだけど。だけどそれでもこれだけは伝えなくちゃいけない。一葉もそうだけど。私も一葉の友人だから」
「.....」
だからごめんなさい、と強く謝る今村。
今村が反省するべきじゃないとは思うが.....だけど今村も必死に気持ちを込めてやっているんだな、というのが伝わってきた。
俺は今村を見ながら、有難う、と伝えてみる。
すると今村は、え?、という感じになる。
「何で貴方が私に感謝の言葉を?」
「今村。俺は全てを許せないで居た。だけどお前を見て。.....周りを見て。俺も若干アイツに向いた方が良いんじゃないかって思い始めたんだ。そのきっかけを作ってくれた。お前は」
「長谷川くん.....」
「だからその分の感謝だな」
「相変わらず優しいねぇ。長谷川っちは」
「煩いな友作」
友作はニヤニヤしながら俺を見てくる。
俺はそんな言葉に、茶化すな、と苦笑しながら居ると。
今村が、一葉の事。私もどうにかする、と決意を固める様に俺を見てくる。
そして俺を真っ直ぐに見据えた。
「あの子は本当に全てが0からのスタートだと思う。だけど私は友人として支えたいって思うから。二度と暴走はさせない」
「お前は強いな。今村」
「私は強いとかじゃないよ。友人として支えてやっているだけ。全てを0からスタートするのはあの子だから。あの子が力を出さないとね。.....でも1つ言うなら。私も助けられた身だから.....サポートしているだけだけどね」
「.....そうなのか?」
そうだよ、と答える今村。
そして、一葉に声を掛けられたあの日から私は変わった。だから今度は私が一葉を助ける番かなって思ってる、と今村は笑顔で話す。
俺は、元気の源はそういう事か、と思いながら今村を見た。
今村はそれを察した様に、じゃあ戻るね、と向いてくる。
「今村」
「ん?何?長谷川くん」
「有難うな。アイツの友人で居てくれて」
「まあ友人で居ないとあの子死んじゃう可能性もあるから。支えてあげないとね」
そして今村は小さく手を振ってから去った。
俺はその姿を見送り.....友作を見る。
友作は笑みを浮かべながら俺を見ている。
それから、今村は良い奴だな、と言ってくる。
その言葉に、確かにな。まあ中学時代から良い奴だから、と答えた。
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