第11話 それでも姉だから

☆雄大サイド☆


それから2日が経過して休みになった。

俺と双葉と一葉は.....色々と複雑な思いを抱えながらの日々を過ごす。

そして俺は土曜日。


ゆっくり起き上がった。

その目覚めは本当に悪いものだ。

夢を見たのだが一葉が全てを捨てる夢を。

流石に無いとは思うが。


「.....」


俺は考えながら目の前を見る。

カレンダーが吊り下がっているのだが.....そのカレンダーを見る。

最悪な事に今日は付き合い始めて丁度3年目だった。

それがこんな悪夢で目が覚めようとは誰が思ったものか。


「反省すれば良いがな。アイツも大概」


そんな事を呟きながら俺は起き上がった。

それから顔を洗ってから準備をする。

そして服を着替えながら周りを見渡した。


ちょっと散らかっている。

親父もお袋も忙しい日々を過ごしているから。

だから片付ける暇が無い。

俺はそれを思いながら椅子に掛けられている服とかを片付け始める。

今日は片付けの日かもしれないな。


「.....」


そんなこんなで黙々と片付けているとインターフォンが鳴った。

覗くとそこに双葉が立っている。

笑みを浮かべながら。

俺はその様子に、どうしたんだ?こんな朝から、と聞く。


『おはよう。いや。朝食を作ってあげようかなって思ってね』

「ああ。そうだったんだな。そんな事しなくても良いんだが」

『まあまあ。私はお兄ちゃんが好きですから』

「いや。気持ちは分からんでもないが」


それから俺は玄関をゆっくり開ける。

すると双葉がニコッとしながらドアを開ける。

そして俺に改めて笑みを浮かべた。


今日はコイツは元気そうだな。

思いながら複雑な顔をしながら俺は聞いてみる。

あまり聞くのも何だが。


「お姉ちゃんは大丈夫か」

「.....そうだね。一応反省している様に見えますけど。でも正直言ってどうなるかは分からない」

「そうなんだな」

「.....相手の人とはまだ連絡を取っているみたいだしね」


あり得ない事を。

考えながら俺は複雑な顔を浮かべる。

それから、それはさっきは反省したって言ってたけど実際は反省して無いって事か、と聞いてみる。

その言葉に、分からない、と首を横に振る双葉。


「.....何れにせよ最低な行為だと思うけどね。こんな事があってもまだ連絡を取っているのは」

「もうどうしようもないな。本当に」

「.....お兄ちゃんは大丈夫?」

「俺はまあもう慣れた。アイツのクソッタレな行為には」

「慣れちゃったら駄目だと思うけど.....」

「毎回毎回クソみたいな事に巻き添えになるしな」


苦笑いを浮かべながら俺は双葉を見る。

双葉は複雑な顔をしながら、そうだね、と返事をする。

俺はその顔を見ながら、それにしても朝早くからすまないな、と向いてくる。

朝早いのは私の日課ですから、と笑顔になる双葉。


「正直寝れてないよ」

「.....ああ。お前の姉の件でな」

「そういう事だね。お姉ちゃんの件でのストレス」

「良い加減にしてほしいもんだな」

「まあもうお姉ちゃんの事だからどうしようもないってのは分かるんだけど。でもそれでも戻って来てくれるって思ってしまって」


リビングに向かいながらそう話す双葉。

お姉ちゃんにも理由があったんですよ。ストレスが、とも言いながら。

だからと言って浮気して良い理由にはならないですけどね、とも。

俺は、そうだな、と話す。


「そのお姉ちゃんはどうしているんだ今は」

「何かよく分からない。.....よく分からない行動をとってる」

「よく分からない行動?」

「よく分からない行動っていうのは常にうずうずしている様な.....そんな感じ」

「それは貧乏ゆすりみたいな?」


そう。

それに髪の毛のケアをあまりしなくなったりとか、とか言ってくる。

何だそれは.....結構重症じゃないか?

思いながら話を聞く。


「何か常に空中を見ている様な感じもあるかな」

「.....」

「でも正直言って天罰だよね。これ」

「天罰だとは思う。だけどそれで俺達が巻き添えになるのは勘弁してほしい」

「それは確かにね」


双葉は話をしながら眉を顰める。

そして台所で持ってきた荷物?を開ける双葉。

俺はその姿を見ながら、何か出来る事はあるか、と聞いてみる。


すると、有難う。お兄ちゃん。でも今は無いかな、とニコッとしながら疲れた様な感じを見せる双葉。

そんな姿を見ながら、そりゃそうだろうな、と思う。

何というか.....な。


「双葉。何かやれる事があったら必ず言ってくれ。俺はお前の力になりたいから」

「うん。有難うね。お兄ちゃん」

「.....」

「お姉ちゃん.....戻って来てくれるかな」

「相当長い道のりにはなりそうだがな。取り敢えず信じたい部分はある。.....すまないが多少だけだけど」


そう言いながら俺は双葉の荷物を整える。

すると、確かにね、と双葉が答えた。

俺は複雑な顔で、お前も抱え込みすぎるなよ、と双葉を見る。


双葉は、そうだね。有難うお兄ちゃん、と笑みを浮かべた。

少しだけ心配になる様な。

そんな感じの笑みだ。


「.....どれだけ打ち切っても私の姉である事に変わりはないから。だからしっかりした事を持って全てを見据えてほしい」

「.....確かにな」

「変わるか変わらないかはあの人次第だけどね」

「それも確かにな」


苦笑しながら双葉は作業をする。

俺はその姿に隣に立つ。

それから一緒に作業をした。

味噌汁、魚、煮物。

次々に作っていった。

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