第35話 一葉、気づく

☆一葉サイド☆


私は全てを知った。

200億円の大変なお金持ちの花嫁である事を。

私は心から絶望した。

身体の芯から恐怖と化した。


全てに絶望してしまったのだ。

だけどその中で.....双葉も雄大も私の家族もみんな私を見捨てず助けてくれた。

私は目を閉じて答えを出す。


そして全てを見据える。

生きていても良いのかもしれない。

思いながらお風呂に入っていると双葉が私に声を掛けてきた。

身体を洗う双葉はこっちを見ている。

私は首を傾げた。


「お姉ちゃん」

「.....うん。何?双葉」

「絶対に死ぬなんて思わないでね」

「.....うん。その事だったらもう大丈夫だよ。多少の痛みはあるかもだけど乗り越える。全て乗り越えてみせる」

「そっか」

「.....うん」


そして水が滴る音だけが響く浴室。

私は浴槽に入ったまま双葉をチラ見する。

それから私は目の前を見てから、双葉、と声を掛ける。

すると、何。お姉ちゃん、と向いてくる双葉。

私はちょっと前から考えていた事を口にしてみる。


「双葉ってさ。もしかして.....雄大が好きなの?」

「!.....それはどうして?」

「何でか分からない。こんな考えになるのがなんでか。でも一つだけ言える事がある。.....最近、雄大の全てが変わった気がするから。それは貴方が居たからじゃないかな」

「.....まさか。それは無いと思うけど」

「だけど雄大は確実に変わっている。.....それは誰か大切な人と一緒にいる事によるものだと思う。言葉の無いラブレターを感じているんじゃいかな。雄大は」

「.....」


すると双葉はシャワーを無言で浴びた。

それから浴槽に入ってくる。

私は、?、を浮かべて双葉を見る。

双葉は私を見ながら、お姉ちゃんっておっぱい大きいよね、と目を細めて見てくる。

そして揉んでくる。


「お姉ちゃん。知ってる?好きな人に揉まれると私達のおっぱいって大きくなるんだって」

「知っているけど!うひゃっひゃっ!くすぐったい!」

「.....お姉ちゃん」

「?.....どうしたの?双葉」

「私。ごめんね」

「.....?」


私はまた首を傾げた。

それから双葉を見ていると。

双葉が抱きしめてくる。

そして私の額に額を合わせてくる。


「.....双葉?」

「.....今日までの道のりは本当に楽じゃなかった。.....だけど私たちはやってこれた。.....その分は誇っても良いと思う。誇れない部分もあるかもだけど」

「貴方は本当に良い妹だね。双葉」

「私はお姉ちゃんを認めなかった。.....今は思う。お姉ちゃんの痛みを半分抱えたいって。200億円の事、早く知られて良かったかもしれない。お姉ちゃんに」

「そっか。.....そう言ってくれて有難うね。双葉」


初めて.....言ったら悪いけど。

初めて私は守りたいものが出来た気がした。

それは私の友人。

そして雄大。

そして家族。

そして私の全て。

それを。


「.....双葉。今まで見捨てないでくれて有難うね」

「私はお姉ちゃんがきっと立ち上がってくれるだろうって。.....途中から思い始めたから」

「そうなんだ.....こんな私の為に.....」

「時には信じる心も必要だってあの人が教えてくれた。.....お兄ちゃんが」

「.....だからって信じるなんて.....もし同じだったら」

「その時はぶん殴るつもりだった」


そして前を見る双葉。

私を見ながら、だけどお姉ちゃんは変わってくれた。だから感謝しかない。その分私はお姉ちゃんの苦しみも応援する、と向いてくる。

私はその言葉に涙が溢れた。


そして泣き始める。

何でそんな事言うのかな。

こんな醜い私に。

有難う.....有難う。

本当にそのような言葉しか見つからない。


「だからもう裏切る真似はしないでね。お姉ちゃん」

「.....絶対にそんな事はしない。裏切らない。頑張る」

「そうだね。お姉ちゃんならもう大丈夫かな。昔の子供とは違うから」

「.....有難う.....双葉」


私は立ち上がる。

それから身体を流す。

そして私は上がろうとした時。

そういえば、と振り返る。


そうしてから、ねえ。もし雄大を好きなら.....私のお願いを聞いてほしい。こんな私のお願いを.....叶えて、と涙を流しながら指を交差する私。

双葉は、!、となりながら私を見てくる。

そして小さく頷いてくれた。


「.....うん。ならもう安心だね。私は」

「お姉ちゃん.....」

「有難う。本当に有難うね。双葉」

「.....今は何も言えないけど。だけど任せて。.....きっと大丈夫だから」

「私は愚かだった。だからその分私が救えない部分もある。200億円の呪いがあるとね.....。雄大を救うには貴方の力も必要だと思うから」

「うん」

「.....私は子供だったからその分もある」


私は全てを曝け出す様にする。

そして.....双葉を見てみる。

双葉は私の意見に全て耳を傾ける様な感じを見せる。

それから伸びをした。


「.....うん。.....お姉ちゃんがそうやって曝け出してくれた事。安心した」

「安心なの?.....私は.....」

「何でも話してくれるから。前のお姉ちゃんはそういう訳にもいかなかったでしょ」

「双葉.....」

「今は姉妹というよりかは友人に思える感じだよ。.....頑張って。お姉ちゃん」


それから双葉は私に笑みを浮かべる。

そして私はその言葉に頷きながら。

そのまま私達はお風呂から上がった。

正直.....私はまだ不安がある。


だけどきっと。

この調子なら乗り越えられる気がする。

そんな気がした。

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