第36話 相模帝(さがみみかど)

☆雄大サイド☆


200億円を一部だけ残して手放す事が浮上している。

俺はその事には大賛成だが。

だけどそれで一葉の.....為になるのだろうか。

そんな事を考えてしまう。


そう思いながら俺はお風呂に入っていたが上がってから再度また考える。

それから天井を見上げる。

アイツにとって最善の策とは?

そして.....俺は。


「.....ふう」


俺は冷たい水を飲みながら天井をまた見上げる。

それから目を閉じて考える。

試練が待ち受けている気がした。

俺はどうしたら良いのかな.....和子。


「情けないよな。俺も大概に」


思いながら俺は天井を見上げる。

そして考え込む様に目を閉じてみる。

そうだな.....こういう時は。

和子の写真でも見てみるか。


「.....とは思ったけど.....今見るのはマズイか」


そう考えてから俺はコップを置く。

それからスマホを観てみる。

そして文章を打ってからメッセージで送信.....しようとした時。

その人物からメッセージが来た。

双葉であるが。


(お兄ちゃん。なんかバレちゃった。私がお兄ちゃんを好きな事)

(え?そうなのか?)

(うん。決してわざとじゃないんだけど.....何かお姉ちゃんが察してた。全部。お姉ちゃんに隠し事は通用しないって言いながら)

(.....そうか)


俺は複雑な顔を浮かべながらその文章を読む。

それからソファに寝転がった。

すると、お姉ちゃんの事。いっぱい考えてくれて有難うね。お兄ちゃん、と言葉を発しながら何か写真を送ってくる。


胸元の際どい写真.....オイ!

思いながら、お前は何をしている!?、とツッコミを入れる。

何をってお兄ちゃんへのお礼だよ?、と真顔の様に答える双葉。

こやつはアホか!?

飛び起きたじゃねーか!


(アホかァ!!!!!)

(私は至って真面目だけど?)

(これは真面目って言わないからな!?)

(アハハ)

(アハハでもない!)


ったくコイツは油断も隙もない。

思いながら苦笑いを浮かべながら文章を読む。

すると、ねえ。お兄ちゃん、と双葉が聞いてきた。

俺は、?、を浮かべながら、何だ?、と聞く。

その言葉に双葉はこう書いてきた。


(私はお兄ちゃんが好きだけど。お兄ちゃんは気持ちは変わらないの?)

(.....そうだな.....俺は何も変わらないと思う。.....俺はいつも通りだ。だけどな。最近はお前の気持ちも考える様になってきた。ようやっと整理がつきはじめたからな)

(そっか。決して無理はしないでね。色々と)

(そうだな。その言葉を尊重する)


お兄ちゃんはそれでなくても相模に傷付けられた。

相模に気を付けないといけないね、と書かれたところで来客があった。

俺は、悪い。何か来客だ、と言ったところで俺はスマホを閉じてからインターフォンを覗く。

そこに.....あり得ない人物が映っていた。

それは相模帝だった.....何.....!?


「.....何をしに来た。貴様」

『こんにちは。初めましてかな。長谷川雄大さん』

「.....初めまして?随分と世話にはなっているがな」

『まあ確かにそうかもしれませんね。ここを開けてもらえますか?』

「冗談だろ。帰れ」


そうですか、と言いながら、では双葉と一葉さんのお家に行きましょうかね、と切り出してくる.....。

俺は、!、と思いながら、貴様、と言うが。

このまま話していてもキリがない。

丁度良かったかもしれない。

このアホと話すのに。


「そんな馬鹿な脅しに屈するつもりはないが。.....俺もお前と話したかったしな」

「そうですか。良かったです」

「.....どうやって俺の住所を入手した」

「それはまあ芋蔓式に」

「.....つくづくゴミクズだな。お前」


礼儀正しそうなスーツ姿の帽子を被った男。

俺はその姿と香水の香りに眉を顰める。

それから、本来なら貴様の様なアホを入れるつもりは無いけど。このまま双葉と一葉の家に行かれても困る、とコメントする。

すると、そうですね。その気は失せました、と笑顔になる相模。


「これはつまらないものですが」

「.....冗談だろ。こんな茶菓子。.....受け取れると思うか?」

「そうですか。毒とかは入ってませんよ?」

「いや。それでも敵対している奴の茶菓子受け取る奴が普通居るか?」

「そうですねぇ。まあ確かに」


俺は睨みながら、上がっても?、と聞く相模を上げる事にした。

このまま抵抗した所でこの馬鹿野郎が双葉と一葉に何をしてくるかも分からない。

思いながら俺は不安もあるが相模を招き入れた。

それから律儀に頭を下げてリビングにやって来る相模。


「.....どうせ全ての情報は筒抜けだろ。上げようが上げるまいが」

「この家のですか?まあそうですね。家族構成も単純に全て知っています」

「マジに気持ちが悪いな。死んでくれ」

「そうですね。まあ僕は死ねる立場じゃないので」


相模は律儀に座る。

それから俺は目の前の相模を見る。

何をしに来た。貴様の様なアホは死んでくれ、と言うと。

はい。えっとですね。僕は双葉を諦めようと思いまして、と顔を上げる。

ただし僕は一葉さんだけを狙おうと思いまして、と話してくる.....。


「.....貴様。そんな事が許されるとでも。滅茶苦茶過ぎる」

「貴方は一葉と別れたのでしょう?だったら花嫁としてもらっても構いませんよね」

「.....」


双葉を諦める理由は、と問うと。

俺に対して、はい。双葉さんは貴方の大切な人だ。だから一葉だけを狙おうと思いましてね、とニヤッとする相模。

そんな馬鹿な事が許される訳が無いだろ、と言うが。


この世界は皮肉だ。.....お金の為なら一葉さんのご両親も洗脳するつもりです。政略結婚とかだっけ。それも視野ですね、と告白してきた。

信じられない程にドクズすぎる。

そんなの堂々に言うなんて。


「考えている事がぶっ飛びすぎている。全ての計画が失敗する可能性だってある。お前も洗脳されているんじゃないのか。お前の親父さんに」

「僕は至って真面目ですよ。親父はマトモだ」

「そうは思えない。.....お前は洗脳されている。マトモな犯罪に至る前に目を覚ませよ」

「.....貴方はおかしな人だな」

「親父さんの話を聞いた。.....今までのお前の行動も大概ゴミだが命令するお前の親父さんよりはマシだろ。いい加減にしろ」

「.....」


洗脳というか。

もうお前が金の為に滅茶苦茶に洗脳されているだろ、と指摘すると相模は無言のまま考え込む。

そして、僕はマトモだと思いますが.....、と言う。

だがその目は。

マトモとは言えない様な考え込む様な目をした。


「自らの親父に自分の人生支配されて楽しいかお前?俺はそうは思わない」

「.....」


親父に洗脳されているとか冗談じゃない。

そもそも洗脳自体が冗談じゃない。

思いながら俺は相模を見る。

取り敢えずありったけは息切れする程にぶつけたが。

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