第39話 流星への祈り
☆一葉サイド☆
そのニュースは私の耳にも届いた。
悪の大魔王に近い人物が捕まったという。
私はいつか捕まるだろう、と思っていた人物が捕まり。
正直ホッとはした.....が。
だけどまだ相模が残っている。
「相模はどうなるのかな」
「.....分からないね。お姉ちゃん」
「正直みんな身を引いてほしいけどね。相模一族は会社から。あれは会社を経営する器じゃないと思う」
「まあそうだね」
そんな会話を双葉とする。
双葉は、お姉ちゃんは結局.....200億円手放すの?、と聞いてくる。
私は、どっちにせよ私は手放すよ、と笑みを浮かべる。
こんなものに頼らなくても私は生きていけるから、と言いながら。
「そっか」
「生涯の計算は3億円ぐらいあったら十分。それ以外は.....全部寄付だね」
「寄付するとするならどこに?」
「.....あ◯なが育英会とか赤十字とかそういう所かな。200億円なんて金額はもうなんていうか人を狂わせる」
「そっか」
双葉は言いながら、でも本当に私は決めきらないと思う。お姉ちゃんの200億円の花嫁の立場なら、と言う双葉。
私は、そうだね。普通だったらありえないしね、と苦笑する。
それから私達は星を見る。
流星だ。
「.....どうしたら良いんだろうね。この先」
「運命じゃないかな。色々と」
「そうだね。確かにその通りかもね」
「私としてはお姉ちゃんが生きた様にすれば良いと思う。もう羽ばたけるでしょ?」
「.....双葉。ありがとうね」
「私は妹だから」
そして見ていると。
嘉から電話がかかってきた。
私は慌てながら、はい、と出ると。
嘉は、一葉。200億円の話だけど。弁護士とか探そうと思って。私も、と言う。
その言葉に、!、と思いながら、嘉。いいよ探さなくて。私がどうにかするから、と言葉を発する。
『良いのかな』
「自分の尻拭いは自分でしたいから.....だから気にしなくていいよ」
『.....一葉は変わったね。全て』
「私は変わったわけじゃないよ。ただ周りにサポートされてようやっと大人になったって感じだよ」
『そっか。分かった。じゃあ何もしない』
嘉は、見てる?流星群、と聞いてくる。
私と双葉は頷きながら空を見上げる。
そうだね。キラキラ一番星な感じだね、とニコッとしながら。
そして見ていると。
『そっか。.....じゃあ私、用事があるから』
「そう?じゃあ切るね」
『うん。じゃあね』
そして嘉は電話を切る。
私は空を見上げながら空に息を吐いた。
まもなく決着がつきそうな気がする。
そんな事を思いながら。
「.....お姉ちゃん」
「何?双葉」
「私はまだお姉ちゃんの事が心配なんだけど。大丈夫かな」
「.....うん。きっと大丈夫だよ」
そう返事をしながら居ると。
今度は雄大からメッセージが入った。
私は、?、を浮かべながらメッセージを開く。
すると、聞いたか。相模の件、と書いてあった。
私は、ううん?どうしたの?、と聞く。
(相模と.....瑛一。そして今村だけど。話し合いをするそうだ)
(え?何の話を?)
(これからの未来の経営とかについて、だそうだ)
(.....そうなんだね)
(ああ。相模も話があるそうだ)
そうなんだ、と思いながら私はスマホに目を落とす。
何れにせよ信用の失墜は免れない。
だからこその未来の話をしたいそうだ。相模がな、と切り出してくる雄大。
私は、まあそうだね。信頼は失墜だろうね、と書く。
そして送信した。
(そうだな。.....だからこそ協定の話がしたいんじゃないか)
(既にもう食中毒の件で失墜しているからね.....)
(かなりな。もう傾き過ぎてヤバいんじゃないか)
(そうだね。.....200億円が入ってくるわけでもないしね)
(お前は参加しなくていい。とりあえず俺達でどうにかする)
(でも)
良いから、と書いて、お前は待機していてくれ、とメッセージをくれる雄大。
私はその言葉に、分かった、と渋々ながらも納得した。
それから私は双葉を見る。
双葉は私を真剣な顔で見ていた。
私はその顔に頷いて返事をしてみる。
「なんて?」
「.....頑張ってみるだって。雄大は」
「.....そっか。頑張ってみるって.....でもお兄ちゃんだけで大丈夫かな?」
「私はそうは思わないけど私がでしゃばっても何も起こらないだろうしね」
「まあそうかな。200億円の花嫁だしね」
「そうだね」
私はもどかしい気持ちを持ちながらも。
今度は何もしない気で空を見上げる。
お願いだからみんな争わないで。
そんな事を祈りながら。
もう争い事は懲り懲りに近い。
相模の親父は捕まった。
だから。
「しかしいつの時代も争いだね」
「だけどもう少しだと思うから。きっとね。.....私はそう信じてる」
「だと良いけどね」
「私はもう争いは嫌だな」
「そもそも200億円がきっかけでこうなっている様な状態だしね」
私は、そうだね、と返事をしながら唇を噛む。
200億円さえなければこんな事にはならなかっただろう。
思いながら私は拳を握り締める。
そして私が.....ロクな行動をしなかったから。
だからこうなってしまった。
反省しなくては。
「お姉ちゃんのせいじゃないよ。200億円を狙った汚い大人のせいとかだと思うからね」
「.....双葉?」
「その辺りはあまり気しない事だと思う」
「.....双葉.....」
「大丈夫。きっとどうにかなるよ」
「.....ありがとうね」
私は双葉にお礼を言いながら空を見上げる。
流れ星が無数に散っていた。
願いを込めて良いよ、と言わんばかりに。
今度こそ。
全てが解決に向かいます様に。
そう星々に祈りながら私は空を見上げた。
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