第25話 相模帝という本性

☆双葉サイド☆


人生というものは不思議だと思う。

儚い存在であり。

そして再生するのだ。


そんな事を思いながら私は廊下を見る。

そこでは廊下を走って行く生徒達が居る。

どうやら美術室で勝負が行われるというらしい。

何の勝負かといえばお姉ちゃんとライバルの絵のバトル。


お姉ちゃん。何か目的が変わってないだろうか、と思いながら苦笑する。

それから私は廊下を歩いて行き職員室に向かう。

職員室にプリントを届けてほしいというお達しだから、だ。

私は思いながら歩いていると。


通路辺りから男子生徒の会話が聞こえた。

見るとそこでは友作さんと.....友康くんが会話をしている。

私は、???、を浮かべながらつい隠れてしまう。

それから声を聞く。


「友康。すまないがこれ以上アイツに近付くな。.....長谷川にな。痛い目に遭いたいのか?お前は信頼出来ない」

「俺はそういうつもりで接触した訳じゃないです」

「怪しいんだよ。動きがな。お前の」

「それはそうでしょうね。相模を知っている貴方から見れば」

「そうか。相模は元気か?最近は何だか事業の為に回っているって聞いたが」

「元気だと思いますがね」


そりゃそうか。

ならその相模に伝えておいてくれ。

これ以上、長谷川に手を出したりしたら容赦は無いからなってな、と友作さんは眉を顰めながら怒りつつ言葉を発する。

私はその言葉を聞きながら隠れ続ける。

すると、お前は本当に信頼してないから、と続けた。


「それに聞いたぞお前。相模のスパイを離脱したって言っているけど.....色々な事を嗅ぎ回っているらしいな」

「何処からそんな情報を仕入れたんですか?」

「簡単だな。俺にも悟られない様にスパイが居るんだよ。この学校にな」

「.....」

「これ以上、長谷川に近付くな。そして双葉ちゃん。ましてや一葉ちゃんもそうだが危険な目に遭わせれば俺は容赦しない」


そんな言葉を放ちながら2人は去って行く。

私はそれを見送ってから、とんでもない事を聞いてしまった、と思う。

正直言って友康くんは信頼出来ないのか?、と思う。

あんなに良い性格なのに。

思いながら私はその場を離れてからそのまま職員室に向かう。



職員室で先生に紙の束を渡してから。

そのまま職員室を後にした。

それから歩いてお兄ちゃんの教室に向かおうとして目の前を歩いていると来客のドアから誰かが入って来た。


それは真面目そうな黒髪の短髪の青年である。

何だかサラリーマンの様なスーツを着込んでいる。

その青年はオドオドしながら来客用の紙に名前を記載してから。

そのまま首に掛けていた名札を見て私に向いてから驚愕する。

前にすっ転ぶその男性。


「.....あの。大丈夫ですか?」

「あ、ああ。これは失敬。.....情けない姿をお見せしましたね。私はちょっと商談に来まして」

「あ、そうなんですね」

「はい」


そしてニコニコしながら来客用スリッパを出して履き。

そのまま、お嬢さん。すいません。.....職員室は何処ですか?、と聞いてくる。

私は、あ。職員室ですね。と笑みを浮かべながら指差す。


すると青年は、有難う御座います、と言いながら頭を下げた。

律儀に90度傾ける様な、だ。

尺度でも測れそうだった。


私はそれを見てからぺこりと頭を下げて去ろうとしたその時。

声がした。

地獄の底からの様な。


「成程。君が桃月双葉さんですね」


と一言。

私は数秒考えてからゾッとする。

見知らぬ青年が何故私の名前を知っている。


思いながら背後を見ると青年がかなり爽やかな笑みを浮かべていた。

歳は20代ぐらいだが。

何だ?何が起こっている。

誰だコイツは。


「.....改めまして。.....私が相模帝です」

「さ、相模.....帝!?」

「そうですね。こんな姿で意外でしょ?」

「.....お姉ちゃんの付き合っていた人ですよね」

「そうですね。私は一葉さんと付き合っていた感じです」


でも安心して下さい。

今日はその用事で来た訳じゃ無いので、と言ってから。

いきなり声が切り替わる様なアクションが起こる。


へえ。お前が双葉とはね。リアルで見ても可愛いじゃん、と言いながら。

そして私に触れてこようとするが。

背後で声がした。

それは.....今村先輩だった。

何故、今村先輩が!?


「.....今直ぐにその子から離れなさい。相模」

「よお。今村」

「何しに来たの。先生も監視カメラもあるよ。この場所は。馬鹿な真似をしないで」

「いやいやマジな冗談だって。ただ単に挨拶をしようとしただけだ」

「冗談には見えない。.....こっち来て。双葉さん」


それから私は今村先輩に駆け寄る。

そして警戒する様に相模を見る。

相模は笑いながら、まあまあ、と落ち着かせる。

そうしてから、俺は本当に商談に来ただけだ。相模グループとしてな、と笑みを浮かべながら言い出す。


「双葉に手を出すつもりはないよ」

「そう。.....私は貴方を汚らわしく思っているから。下手に手出ししないで大人しく商談なのか分からないけど帰りなさい」

「はっはっは。厳しいな。今村は」

「これは警告。冗談でやっているんだろうけど。.....私達以外に一葉と双葉さん。それから長谷川くんとかに手を出したら容赦なく貴方を追い詰めるから」


まあまあ考えておくよ。

と言いながらやって来た事務員の人と相模は去って行く。

どうやら本当に商談だけの様だ。

流石に会社側の利益の損失は避ける、か。

思いながら私は今村さんを見る。


「.....ごめんなさい。色々隠していたね」

「.....今村さんがそういう立場だっていうのは初めて見ました」

「そうだね。取り敢えず隠していてごめんね。本当はバラしたくなかったけど。でも緊急事態だったから」


私は、はい、と頷きながら汗を流す。

それから考え込む。

これは参ったな、と思いながら。


本当にスーパーの産業だけでこの場所に来たのか?

いやあり得ないか。

何か裏がありまくりだろう。

困った.....気持ちが悪い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る