第3話 一葉
社会的抹消という言葉。
俺はその言葉を受けながら双葉を見る。
双葉は笑顔で俺を見ながら料理をしていた。
その姿を見ながら俺は考え込む。
そうしてから、なあ。双葉、と聞いてみる。
「何?お兄ちゃん」
「お前はこれからどうするんだ?」
「私か。私は、そうだね。今は私はお姉ちゃんから離れようって思うよ」
「離れるってのは?」
「取り敢えずは一人暮らしをする予定だよ」
俺は、!、と思いながら双葉を見る。
すると双葉は、私はもうお姉ちゃんとあまり関わりたくないから、と向く。
その姿に顎に手を添える俺。
それから、お前は大変だな、と話す。
「私は別に大変じゃない。お兄ちゃんだよ問題は」
「俺は大丈夫だ。きっとな」
「.....そうだと良いけどね」
それから俺を見ながら笑みを浮かべて鍋を思いっきり動かす。
そしてチャーハンを作り上げた。
俺はその姿を見ながら驚きの声を上げる。
双葉は、夕ご飯作っておくからね。宜しく、と笑みを浮かべる。
そんな姿に俺は、サンキューな、と告げる。
「えへへ。大丈夫だよお兄ちゃん」
「お前は優しいよな。本当に」
「私はお兄ちゃんが好きなだけだよ。アハハ」
「いやいや。恥ずかしいって」
赤面しながら頬を掻く俺。
それから俺は.....溜息を吐く。
その姿を見ながら双葉はまた笑顔になる。
俺はそんな姿を見つつ、ふむ、となる。
すると俺のスマホに電話が.....掛かってきた。
「.....これは.....」
「お姉ちゃんですね」
「.....」
俺は複雑な思いでそのままスマホに出る。
するといつもの甲高い笑顔の声がした。
雄大。何しているの?、という感じで.....。
その言葉に俺は平常心を保ちつつ、ああ。今はちょっとな。勉強中でな、と答える。
『そうなんだ。えっと。.....ゴメンね。今日はデート出来なくて』
「いや。構わない。忙しかったんだろ?」
『そうだね』
「.....」
身体が何か熱くなる。
だが俺は平常心を保ちながらフウッと息を吐きつつ答える。
すると、あ。そうそう、と向いてくる。
俺は、?、を浮かべながら話を聞く。
『双葉知らない?』
「.....知らないな。何処に行ったんだ」
『うーん。何処に行ったのかな』
「.....」
違和感しか感じない。
どうしたものか。
そんな感じで俺は双葉を見る。
双葉は首を振って否定する。
そして唇の前でバッテンを描いた。
俺は、何処かコンビニでも行っているんじゃないのか、と回答する。
『そっか』
「.....ああ」
『まあそのうち帰ってくるかな』
「そうだな」
そして、まあそれは良いけど、と切り出してくる一葉。
俺は眉を顰めながら声を聞く。
そうしてから、ねえねえ。今度一緒に買い物に付き合ってくれない?、と言ってくる一葉.....。
その言葉にイラッとしながらも、そうか、と答える。
そして双葉を見る。
双葉は言葉に頷く様な仕草を見せる。
俺はその様子を見つつ、分かった、と答えた。
「付き合うよ」
『そうこなくっちゃね。じゃあ何日に集合する?』
「.....今週の土曜日はどうかな」
『じゃあそれでいこうか。有難うね』
デートの問い合わせだった様だ。
正直全く気が乗らないのだが。
思いながら俺は険しい顔をしながら回答する。
すると双葉は、私もこっそり付いて行きます、と筆談で紙を渡してきた。
俺はその書いてある文章を見ながら聞いてみる。
「.....一葉」
『何?雄大』
「お前は何か隠し事はしてないよな?」
『???.....してないよ?』
「そうか。なら良いが」
まあしているだろうけどな。
思いながらだが俺は首を振る。
今はそんな感じを見せる場合じゃない。
平常心を保ってから。
証拠を掴まなければいけない。
『雄大。大丈夫だよ。私は何もしてないから』
「.....そうか」
『何を疑っているのか知らないけど私は雄大一筋だから』
「.....」
よくもまあ嘘ばかり吐くね。
横の双葉も額に青筋を浮かべてイライラしている様に見える。
そんな姿を確認しつつ、取り敢えず勉強中だから切るぞ、と話す。
すると一葉は、あ。そうだったね、と言ってくる。
正直を言うと違うのだが。
これ以上話すと双葉がキレるかもしれないので。
「じゃあな」
『うん。じゃあまたね。雄大。アハハ』
「.....」
俺は言葉を聞きながらそのまま電話を切る。
そして双葉を見る。
双葉は、お兄ちゃん。有難う、と頭を下げる。
その言葉に、?、を浮かべる。
「これ以上お姉ちゃんと話したらキレる所だった」
「だな。お前そんな感じを見せていたしな」
「何でこんなに平常心で.....あり得ない.....本当に」
そんな愚痴を溢しながらブツブツ言葉を発する双葉を見つつ。
俺は窓から外を見る。
外はだんだんと曇ってきていた。
最悪な天気だな、と思う。
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