第31話 流れ行く時間
☆雄大サイド☆
一葉に200億円.....?!
俺は愕然としながら汗をかいていた。
それから俺達だが近所の公園に集まっている。
何をしているかと言えば。
瑛一奪還の件とかであるが。
それ以外にも200億円の花嫁の話をしていた。
「200億円なんて想像が.....」
「あり得ないね。正直言って私からしてみても羨ましいって思う」
「.....何となくですが私を狙っている、お姉ちゃんを狙っているのが分かりました。美人以外にも話があったんですね」
「.....」
俺は3人の話を聞きながら盛大に溜息を吐いていた。
それから、200億か、と思う。
隠されているお金.....か。
財宝みたいな感じかな。
思いながら俺は前で遊んでいる子供達を見る。
「.....とにかく今は」
そこまで切り出した時。
スマホにメッセージが入った。
それは一葉から、である。
俺は少しだけ息を飲みながら開いてみる。
するとそこにはこう書かれていた。
(大丈夫?友作くんとか.....雄大。みんな.....)
俺はその言葉にホッとしながら、ああ。大丈夫だ、と返事を書く。
それから、お前は目の前の事に集中しろ。大丈夫だからな、と返事を書く。
双葉が聞いてくる。
お姉ちゃん?、という感じで。
俺は少しだけ言い辛い感じで真剣な顔のまま、そうだな、と返事をする。
「.....何かでバレるとしても今は一葉に知らせない方が良いね」
「.....そうだな。.....一葉に知らせらたらマズイよな多分。本当に今の現状なら自殺するかもしれない」
「私としては永遠に伝えるべきではないと思います」
「.....そうだね。佳代子。それは分かる」
私も伝えるべきではないと思うよ。お兄ちゃん、と向いてくる双葉。
しかしお金がこんなにも人を醜く汚すとはな。
思いながら俺は目の前を見る。
相模が.....どう出てくるか。
そして瑛一が戻って来るか、だな。
思っていると今村が、取り敢えず今はみんな重要な秘密を抱えすぎている。一旦解散しよう。考えを纏めてまた、と提案しながら立ち上がってゴミ箱にブラックコーヒーの空き缶を入れる感じを見せる。
そうですね、と俺も立ち上がる。
「.....こんな事正直言って終わらせないといけない。何というかかなり難しいけどね」
「そうですね.....」
「瑛一さんが心配ですけど仕方がないです.....ね」
「そうだね.....佳代子」
俺達は考え込む。
正直言って200億円の事は衝撃が大きすぎる。
思いながら俺は顎に手を添える。
しかしどうしたら良いかも見当がつかない。
人の年収が生涯で2億円と言われている。
つまり現時点でそれの100倍はある計算だ。
「なるようになるとは思うけどね。だけどこのままではみんなが壊滅的であり。仲良くなるには程遠いね」
「.....まあそうですね」
「私は独自に動いてみようと思う。友作くんに察されない程度にね。.....彼は本当に頭が良いから」
「.....ですね」
そして俺達は解散した。
それから俺達は車で送ってもらい。
帰宅する事にした。
因みにだが.....この後に勉強に向かった姉を見送り。
双葉は親に聞いたという。
かなり衝撃を受けていたが。
話してくれたそうだ。
その答えとして.....こういう答えになった。
何故話さないか、というと。
一葉自体が出会った頃から精神が不安定だったから、優しすぎるから。
だと。
それは言い訳にしか聞こえないけど。
あくまで私達は対応したつもりだ、と話したともいう。
俺はその言葉に妙に納得した。
あの姿を見れば一目瞭然だしな。
☆
200億の存在は嘘か本当か。
その金額はスイス銀行?に入っているとされている。
俺はその事に、ふむ、と思う。
そして翌日の土曜日になりゆっくり起き上がる俺。
瑛一に関しては.....まだ情報は無いので普段通りに動くしかない。
「.....ああ。今日は双葉とのデートか」
そんな事を呟きながら俺は待ち合わせの為に直ぐに上着を羽織ったりして準備をしっかりする。
それから映画のチケットを2枚持ってから。
全てを準備してから表に出てから二宮金次郎像が置かれている場所に向かう。
待ち合わせの町の中央だ。
「お兄ちゃん」
「.....よ。双葉」
「今日は来てくれて有難うね」
「何言っている。俺が誘ったもんだろ」
「まあそうだけどね。でも話し合いみたいな感じだから」
「あんまり気にせんで良いけどな。有難う」
因みにだが今日は一葉は学校で体育祭用の旗の色付けとか指示を出している。
俺はその事に笑みを浮かべながら。
そして反対に、良かった、と思いながら双葉を見る。
双葉は眉を顰めたが。
俺が見るなり笑顔になる。
「今日観る映画って何?」
「恋愛映画だな。実際俺はアニメが良いけどな」
「そうなんだね。お兄ちゃんはアニメ映画が良いの?」
「そうだな。リアルよりも2次元だ」
「まあ確かに感情移入出来るしね」
「そういうこった」
そして俺達は、じゃあ行きますか、という感じになり電車に乗る。
それから俺と双葉は電車に揺られる。
その中で目の前にイチャイチャしているカップルがやって来る。
俺は赤面しながら、イチャイチャすんなよ、と思ってしまう.....と。
双葉が寄り添って来た。
「.....今日は私をエスコートしてね」
「あ、ああ」
「期待しているぞ。童貞くん」
「いきなり女子が童貞言うなよ.....」
「私は昔からこんなだよ。最近は無かったけどね」
それから双葉は俺の手を握ってくる。
俺は赤くなりながら汗をかく。
目の前の彼氏彼女の様にイチャイチャはしてないが。
あくまでそれだけでも緊張してしまう。
何というか汗が噴き出る。
「あっはっは。お兄ちゃん汗だくだねぇ」
「それはそうだろ.....良い加減にしろよ」
「そうだねぇ。ふふふ」
「.....全く」
ときめいちゃっただろ。
全く宜しくない。
そう考えながら俺は頬を掻く。
それから盛大に溜息を吐くが.....でも。
嫌な気はしなかった。
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