第30話 無超壁、ゼッタイ

 海「あの...唯愛さん...」

私は彼のその言葉を聞いた途端立ち上がった。


そして私は言う。

 

 唯愛「ご..ごめんなさい!」


そお言って私は美華を連れ、この場を立ち去っていった。


モヤモヤと残るこの感情。


この初めての感情が、今の私にはよくわからなかった。


 そして美華の家の近くまできた私達。


 美華「唯愛。大丈夫?」

彼女が心配そうに聞く。


 唯愛「うん...なんとか。ちょっと頭がパニックになってるだけ...」


 美華「そっか...きっとなんとかなるよ。大丈夫...」

いつになく彼女のテンションが少し低い事に気づいた私だが、なにも聞かずにいた。


 唯愛「疲れたから早くゆっくりしよっ」

私なりの精一杯の言葉だった。


 そして私たちは美華の家に帰り、簡単に彼女の親に作ってもらったご飯を食べ、お風呂に入り、そして布団に入る。


 美華「唯愛。明日からまたランニングしよっか」

突然言い出した彼女。


 唯愛「え?でも...」


 美華「海さんがいるかどうかは別として、朝に2人で走るの楽しかったから。それに私ももう少ししたら、また大学に戻らないといけないし」


気づけば、私達の長い休みの終わりが近づいてきていた。


あっという間の休み。


大学生になって初めての休み。


本当にいろんな事があった。


そして私は言う。


 唯愛「そおだねっ。楽しかったもんねっ!また明日走ろっか!」

そお言い彼女を抱きしめた。


 美華「...ありがと...唯愛」



 こうして私達は眠りについた。




目が覚めたのは夜中の3時。覚えていないが、あまり雰囲気のよくない夢を見ていた私。

静かに目を開ける。


 すると...


美華が布団にいなかった。


トイレでも行ってるのかなと思い、しばらく待ってみるも、彼女は戻ってこない。


寝ぼけていた私。


私はトイレに行きたくなり、部屋を出る。


彼女の実家の部屋の2階は2部屋あった。


私達が寝ている部屋と、もう一つ彼女の姉の部屋。


彼女の姉は結婚してるため、もうこの家にはおらず、そこは空き部屋となっている。


その姉の部屋から薄暗い明りが差している事に気づく私。


僅かな明かりに吸い寄せられるように、その部屋に近づいた。


部屋を除く。


そこで見た光景は....



美華が布団に横たわり、自分の服を半分脱ぎ、一人で何かをしている姿だった。


その姿はいつも見ている美華ではなく、大人の女性の姿。


華麗だがどこか健気で...けれど切なくて...


少しして彼女が何をしているのか、私にはわかった。


彼女のその姿を見てしまった私。

一気に体中から汗が出てきだし熱くなる。


見てはいけないものを見てしまった。


すると彼女から、言葉が零れた。


 美華「唯愛っ...」


気づかれたと思った。


違う。


私の事を想像してだ...


そう思った。


その様子を見て、身体中熱くなる私だったが、なんとも言えない喪失感に急に陥り、足音を立てずに静かに部屋に戻った。


 美華の思い...


彼女も私の事を応援し、支え、同性とはいえ、友達以上、親友以上、恋人同等と呼べるほどの存在になってきていた。


でも...どうしても...どうあがいても....私と彼女の間に....




超えられない壁はある。

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