第40話 私が最期に植えた花
それから何年も月日は流れ、蒸し暑い時期となっていた。
ある日の喫茶店の仕事の前。
まだ私は毎日朝、この歳になっても、走り続けている。
この公園は私達が大学の時に走っていた時もそうだったが、本当に人がいない。
最近よく見かけるようになったのは、私ともう一人、知らない高校生ぐらいの男の子。
その男の子の走っている時の姿が、どこか彼に似ていた。
そして、この公園にいる時は、”海”とゆっくり話ができる唯一の幸せな時間。
私は彼に話しかけた。
唯愛「海。私、公園の周り3周も走れるようになったよ!」
唯愛「海。小春さんも喫茶店で働いてくれて、売上すっごく伸びてるよっ!それに亮さんも毎日、お店に遊びに来てくれるよっ!会社での文句を美華にずーっと話してて、彼女コリゴリしてたけど!でも楽しそうだった!」
唯愛「海。お母さんと仲良くやってるよ。この前も一緒にトンカツ作ったの。そしたらいつもより美味しくなっちゃって!お父さんも喜んでた!」
こうして、私は彼にずっと話かけていた。
そして、私は少し前からあることを公園でしていた。
それは、彼の婚約指輪に対する返事である。
ようやく彼の死を、完全に受け止めることができたのだ。
唯愛「海。もうそろそろだと思うんだけど、あっちに行ってみるから、見ててねっ!」
そう言って、公園の花壇の前に辿り着いた。
私が最期に植えた花...
そう。
満開に咲いた99本のヒマワリである。
花言葉は、「永遠の愛」
そしてもう1つ。
「ずっと一緒にいよう」
私は空の向こうにいる彼を見上げ言う。
唯愛「海さん。私はこれからもずっとあなたを愛しています。これからもずっと一緒にいようねっ!」と。
そして私は走り出した。
彼と一緒に。
〜完〜
私が最期に植えた花 夜影 月雨 @za-bi
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