第29話 あえて言わない彼女
美華「唯愛~!」
美華がドラッグストアから帰ってきた。
私達のこわばった様子を見て、驚くと思っていたが、何事もなかったかのように、海さんに買ってきた物を渡した。
少し彼女の表情も硬い。
海さん「美華さん...ありがとう」
美華「いえ...大丈夫ですか?」
彼女は聞いた。
海さん「はい...けれど、唯愛さんに聞きました...」
私はその言葉を聞くも、美華の顔を見る余裕すらなく下を向いていた。
もちろん彼の顔も見れず...
すると彼女が思わぬ事を言う。
美華「私も聞きました。小春さんに...」
唯愛「え?小春さんいたの?」
小春さんがいた事にビックリし、ようやく顔を上げた私。
美華「さっき、駅でバッタリ会って...」
..................................30分前
美華「あっ!小春さーん!」
小春「...みっ美華ちゃんじゃない。どうしたの?そんな血相かいて...」
美華「ちょっと大変なことが起きちゃって!」
小春「...たいへんな事?」
美華「はい!この前合コンに来てた男の人に絡まれちゃって、やばかったんですけど、知り合いの人が助けに来てくれて...」
小春「そおなんだ...」
美華「??あれ?どうかされました?」
小春「美華ちゃん...ちょっと今日私女子会参加できなくなったから...」
美華「え?どうしてですか?」
小春「実は、私その様子見てたの...見てて...その唯愛ちゃんを助けた人...私が前喫茶店で話した...その人なの...」
美華「えっ?そおなんですか?」
小春「うん...だから...私の役目はもう終わり。もう彼の前に現れるわけにはいかないから...」
美華「...」
小春「最後に唯愛ちゃんに伝えて欲しいの...あなたの運命の人は彼だわ。しっかり海さんと向き合って」
.........................................
彼も小春さんが来ていた事にビックリしていた。
海さん「あの!美華さん!小春はここに来るんですか?」
すでにボロボロになっているはずの彼。
こんな状態でも、彼女の名前を聞くと、細い目を大きく開け、美華に聞いた。
美華「いえ...来ません」
海さん「なにか言ってましたか?」
美華「小春さん、今日の女子会参加できなくなったから、ホントにごめんって謝ってました...」
その事を聞き落ち込む彼。
美華の様子を見ると、何か隠しているように見えたが、その時は私は聞かなかった。
私はその時思う。
"あの綺麗で、大人で、可愛くて女子からも尊敬できる、小春さんの後って...."
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