第17話 それぞれの思い
その日から小春さんは、喫茶店に週に3回来るようになった。
私達のいる時間に必ず来てくれて、カウンターに座り、たくさんのお話をする。
小春さん「唯愛ちゃんと美華ちゃんって本当に仲いいよね〜」
美華「そうなんですっ!私達付きあってるんですっ!」
そお言って彼女が私に肩を寄せ、腕を組んできた。
唯愛「ちょっ!ちょっと〜!」
頬が真っ赤になり下を向く私。
その様子を見て、小春さんは微笑みながら言った。
小春さん「あら〜!可愛いカップルさんだねっ!ラブラブじゃん!」
唯愛「中学校からずっと友達で、今となっては親友以上です!」
その言葉を聞き、美華が頬を膨らませた。
美華「もっともっとです!」
そう。
美華がいくらそのような事を言っても、他の人からすれば、仲の良いお友達としか思えない。
しかし、小春さんだけは違った。
小春「でも、男女限らず、本気で好きになって愛する人ができるのって本当にいいことよねっ!」
その言葉を聞き、キョトンとする私達。
美華「そういうの余り気にしないんですか?」
彼女が聞いた。
小春さんは、目を瞑り、コーヒーを一口飲み、そして話をしはじめる。
小春さん「うん。私は気にならないわ。だって好きになっちゃったんだもん。しょうがないよね。好きになったら駄目だと分かってても...駄目と思えば思うほど、その人が愛おしくなる。そんなの無理だよ...思うのは自由だし、それに相手が受け入れてくれたら尚良し。他の誰にも責められる筋合いなんかないわ。よくあることよ...」
小春さんは自分の事を言ってるように聞こえたが、その言葉は私にとってかなり重かった。
高校生の時、駄目だとわかっていても、止まらなくなり好きになってしまった"あの人"。
今まで、その過去の恋をずっと否定し続けた自分が、救われたような気がした。
唯愛「小春さんは今まで色んな恋愛してきたんですか?」
彼女の事が気になり、その事を聞いた私。
小春「...うん。たくさんしてきたわ。幸せな恋も。そして苦しい恋も...」
窓の外を見ながら、切なそうな顔をする彼女。
その様子が余りにも美しすぎて、私も美華もつい"うっとり"してしまっていた。
小春「あっ!ごめん。私の話ばっかり。だから唯愛ちゃんも、美華ちゃんも、色んな恋愛をしたらいいよっ!二人の関係が崩れない程度にねっ!その辺は二人の事だから大丈夫そおだけどっ」
たくさんの恋愛をしてきた小春さんには、私達の全てが見透かされているような気がした。
でも、こういった、同世代とは違う大人の女性と話す事で、彷徨っていた道から抜け出せそうな私がいる。
余りにも恋愛経験のない私。
その割にはかなりの内容の濃い恋愛をしてきている気がする。
海さんだってそう。
好きになったわけではないが、気になりだしていたのは事実。
だが、その気になるという感情が果たして恋愛に繋がるのかがわからない。
それは、私が今まで男の人と関わってこなかったからだ。
未熟な私。
すると、ずっと私の腕を組みながら会話をしていた美華が、小春さんに提案する。
美華「私達、合コンとかしてみるのってどうですかねっ?」
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