第16話 大人の女子と子供の女性

 唯愛「おまたせしましたー!こちらになります!」

私はその女性が注文したコーヒーを持っていった。


 女性「ありがとうございます!」

私の言葉に対し笑顔で答えてくれた。

その笑顔につられ、私も同じ顔になってしまう。


その状態のままカウンターにいる美華の元へ戻った私。

彼女もその女性のあまりの美しさに魅了されて固まっていた。

そして私が美華に言う。


 唯愛「あの女の人、すっごく綺麗じゃない?」


 美華「うん。すっごく美人。それにあの笑った時の顔に少し残るあどけなさがたまんないねっ!あれはモテるだろうなぁ!」


 唯愛「OLさんかなぁ?服もめちゃキマってるし、それになんといってもコーヒーが似合うよね!」


私達はカウンターの奥でヒソヒソと話していた。

するとその様子に気づいたのか、チラッとその女性がこっちを見る。


その女性の意識していない、上横目遣いでさらに”キュン”としてしまった私達。


するとその女性が私達に話しかけてきた。


 女性「学生さん?」


 美華「はいっ!そうです!」

我先にと、突然前にでる彼女。


 その様子を見て、その女性は微笑みながら言った。


 女性「すごく元気ですね!たまにここのお店来るんだけど、初めて見るお二人だったから」


 唯愛「そおなんです!つい最近バイト始めたんです!」

美華に負けじと、前にでようとする私。


 美華「ここら辺で働いてるんですか?」

また彼女に前にいかれてしまった私。


 女性「ちょっと出張に来てて、1ヶ月ぐらいこっちにいることになったんです。それで、昔からあるこのお店に久しぶりに寄ってみたら、営業されてたので嬉しくなっちゃって!」


そう。


相手が女性となると、勢いよく喋ることができる私だった。


 その女性とも終始会話が弾み、コーヒーを飲み終え、お会計をした。


そしてお店を出る際に、その女性が私達の名前を聞く。


 女性「楽しい時間と美味しいコーヒーありがとう。お二人共お名前は?」


 美華「木下 美華ですっ!」


 唯愛「七瀬 唯愛ですっ!」

学校の授業の何倍もの声でハキハキと伝えた。


 女性「美華ちゃんに、唯愛ちゃん!可愛い二人に会えてよかった!また話そうね!」


そお言って彼女が私達に名刺を渡し、お店を出ていった。


スマートに渡す、その女性の姿に魅了されしばらく何もできずにその場で立ちすくんでいた私達。


そして我に戻り、その女性の名刺を見た。

そこに打ち込まれていた名前は...



 "霧島 小春"

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