第24話 同性不倫

 小春さんと公園で話をした次の日、私と美華は喫茶店で、今日もバイトをしていた。


 唯愛「美華〜。やっぱり小春さんって本当に凄い人だよ」

そお言い、小春さんから聞いた話を全て美華に話した。

過去の恋愛の事話してもいいと言っていたから。


 美華「うん。やっぱり凄い人だねっ!なんでも全力って感じ!」


 唯愛「そおなのよ。それに私、今まで不倫って言葉聞いただけで、吐き気がするぐらい受け付けなかったんだけど、こうして小春さんの思いを聞いてたら、少し受け入れられた気がする。駄目ではあるけどね」


あの時、彼が言った時もそうだった。


その時には軽蔑してしまったが、思うところはたくさんあった。


小春さんの話を聞いてから、あの時彼がなぜ、"もう会うのはやめよう"って言ったのかも少し分かった気がする。


 すると、美華が私の方をじーっと見ながら言った。


 美華「今なんだかんだ言って、海さんの事考えてるでしょ?」

そおいって私のほっぺたを突いてきた。


 唯愛「そ、そんな事ないよ〜!違うってばっ!」

明らかに動揺する私。


 美華「私には唯愛が考えてることすぐわかるんだからねっ!それに小春さん、今まで全力で恋をしてきたんだから、唯愛も同じように頑張らないとっ!」


 唯愛「まだ好きになったとかじゃないからっ!」


そう。


まだ私は、彼の事が気になっているだけで、それがただ知り合いとして気になるのか、恋愛として気になるのかが分からなかった。


 美華「唯愛は過去にトラウマが多いからなぁ〜でもその悩みはいい事だよっ!私はちょーっぴり寂しいけどね...」

そお言ってそっと突いていたその人差し指を、ゆっくりと離す。


その様子を見た私は、その美華の指を握り言った。


 唯愛「大丈夫。これから先、他のどんな人を好きになったとしても、私は美華の事が大好きだよっ!」


彼女だけに届く言葉。


だけど実は切ない言葉でもある。


その言葉を聞き、彼女は寂しそうな顔から笑顔に戻った。


 "唯愛。ありがとう"


口パクで返した彼女。


私達だけの心地よい空気へ戻った。


その後も、皿洗いをしたり、カウンター周りを掃除したりしながら話をしていた私達。


そこへ、小春さんがやってきた。


 小春さん「唯愛ちゃん、美華ちゃん!お疲れさま〜!」


 美華「あっ!小春さん!お疲れ様です!ちょうど小春さんの話をしてたんですよ〜!」


 小春さん「あらっ!昨日少し酔っちゃってたから変なことまで言ったかもしれないけど...」

そお言って顔が赤くなる彼女。


 美華「いえいえー!二人で、やっぱり小春さんって凄い人だねって話してたんですっ!」


 小春さん「それならよかったけど、でもちょっと恥ずかしいわ」


 唯愛「だから、まだまだ小春さんに聞きたいことたくさんあるんですっ!なんで、合コンはもう懲り懲りですけど、また3人で女子会でもしましょー!」


 美華「それっいい!私も言おうと思ってたっ!」


こうして私と美華が喜んでいたその向こう側で、少し切なそうな表情をした彼女。

それに気づき、私達は聞いた。


 唯愛「何かあったんですか?」


そう...彼女は1ヶ月後、仕事で海外に行かないといけなくなったのだ。

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