第23話 会いたい

 その後も俺たち2人は、唯愛の事について話したり、高校の頃の思い出話をしたりで盛り上がった。


本当にこうゆう時の親友は助かる。


どんなに落ち込んでいても、


自分がもうダメだと思っていても、


さりげなく支えてくれている。


きっと小春にも...彼女にも...そんな人がいるのだろう...。


 そして俺たちは居酒屋を出た。


 亮「また飲もうな!それと、なんかあったらいつでも言えよ!」

そう酔っ払いながら言った彼は、俺に手を振り駅のホームに消えていった。


 1人駅外でボーッと立ち尽くす俺。


久しぶりに、信頼できる友達と、気兼ねなく話ができた。


社会人になってずっと離れた場所で仕事をしていたから、関わる人も職場の人間ばかりだったし、飲みに行くなんて、上司や部下がほとんどでお互いに気は使っていたはず。


心の中で亮に感謝しながら、歩いて家まで帰っていく俺。


楽しくてお酒が進んだせいか、少し足に力が入らない。


 するとその時、向こうから見たことのある3人組が見えた。


 「お前なんてことしてくれたんだよ〜!せっかく持ち帰り出来るかと思ったのに!」


 内容が聞こえたのはそれだけ。


遠くのうちは暗くて姿がよく見えなかったが、すれ違うときに目が合った。


 男の人「あー!最上さんじゃないですかぁ!何やってんすか、こんな所で!」


最悪だ。


会社のいつもいじめられている年下の上司達だ。


 海「お疲れ様です。友達と飲みにいってただけです」


俺は早くその場を立ち去りたく、スムーズに答えた。


 年下の上司「へえー!俺たち、可愛い女の子と合コンしてたんですけど、お持ち帰りできなくてむしゃくしゃしてるんすよ!ちょい相手してもらっていいっすか?」


そいつの言う言葉に返す間もなく、捕まれ、高架下に連れて行かれた俺。


始まった。


いつもの現実。


さっきまで楽しかった時間。


余韻に浸る間もなく終了した。


まだ全身のアザも治りきっていない為、今回は少し痛かった。


"あー...痛い。これがいつもの俺だな..."


高架下で俺の身体に鈍い音が鳴り響き続けた...



 そしてようやくそいつらも落ちついたのか、何も抵抗しない俺を見て、最後に蹴りを入れて帰っていく。


 '明日は仕事休みだからしっかり身体整えてこいよ"


その彼の言葉だけかろうじて聞こえた。


ここまでやっておきながら、その意味不明な言葉。


俺は誰もいなくなった高架下で倒れ、一人で笑う。


友達にかかわっても罰。


どうすればいいんだ俺。


そう思っていた。




そして立ち上がり思う。


"彼女に会いたい..."と。

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