第25話 可愛い彼女
唯愛「え?小春さん海外に行っちゃうの?」
急な彼女の告白に私達は驚いた。
小春さん「せっかく仲良くなれたのにね...だからその女子会がお別れ会になっちゃうね...」
せっかく知りあった尊敬できる大人の女性の友達。
今から小春さんに色々人生について教わり、学んで行こうと思っていた矢先、こんなことが起こるなんて。
美華「すぐ帰ってくるんですよね?」
私より既に涙を流していた彼女が聞く。
小春さん「早くても3年はかかるかな...」
美華「そっそんなぁ〜...」
彼女が小春さんに抱きついた。
私も本当はそうしたかった。
必死に涙を堪らえようとするが、耐えられず涙が溢れ落ちる。
彼女と出会ってからと考えるとまだ日は浅い。だが、期間の問題じゃない。
美華と同じぐらい小春さんの事を大切な人と思っていた。
小春さん「でも帰って来たらまたここに遊びに来るし、またその時には二人の作った美味しいコーヒーを飲ませてよっ!気づけば二人共、日を重ねるごとにコーヒーに温かみが増してきてるからっ!帰ってきた時が楽しみだなっ!」
そお言って彼女は抱きしめてくる美華の頭を撫でながら、美しく、そして綺麗な涙を流した。
そう。
私達は知らぬ間に成長していた。
小春さんと知りあってからたくさん色んな事を聞き、少しずつ考え方も大人になってきている。
それがお客さんに出すコーヒーの味として滲み出ていたのが、小春さんにはきちんとわかっていたのだ。
小春さん「だからっ!泣くのはもうおしまいっ!私が旅立つ前の日に3人で女子会しましょー!」
一番寂しいのは彼女なハズなのに、そう言いながら、私達の気持ちまで引っ張って、元気にしようとしてくれた。
そして、その日から毎日、小春さんは私達のバイトする喫茶店へ遊びにきてくれた。
その間も笑顔は絶やさず、私たちの話を聞く。
美華「唯愛って、本当に過去に先生と恋をして以来、好きという感覚がどういうものなのか分からなくなっちゃってるんですよ~」
小春さん「唯愛ちゃん、先生に恋してたんだねっ!意外だなぁ~」
唯愛「私もまさか初恋が先生だなんて思ってもいなかったです。でも、あの恋はその後いろいろあったから...」
美華「そうなんです。結局の所裏切られたのか、唯愛の為を思ってあんな事したのかわからなくてですね」
そして小春さんが私に聞く。
小春さん「唯愛ちゃんが、その恋をして何か成長できた事はある?」
その言葉を聞き、私は顔をあげ、美華と顔を合わせた。
そして私は美華と腕を組み言う。
唯愛「はい!できました!こんなにも可愛い私の"彼女"ができましたっ!」
それを聞き、一気に顔が赤面する美華。
その様子を見ていた小春さんが微笑みながら言った。
小春さん「可愛い彼女さんが出来てよかったねっ!これからも大事にするんだよっ!」
やはり私達の事は、彼女は初めから感じていた。
なんとなく気づいていたが。
私と美華の関係。
友達以上親友以上、いやそれ以上の二人。
それを否定するわけでもなく受け入れてくれた。
小春さん「じゃあ明日19時!駅前で待ってるからねっ!」
そお言って私達に手を振り、彼女は喫茶店を後にした。
いよいよ小春さんとの別れの時が来たのだ。
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