第31話 ただの喧嘩

 朝6時。


目を覚ますと、そこには私の胸の中で眠る美華がそこにはいた。


彼女を強く抱きしめる私。


 彼女が目を覚ました。


 美華「ふぁぁ~。唯愛おはよぉ~」


いつになく彼女が可愛く見えた私。


そして私の胸の中にいた彼女のおでこへ、当たり前のように、初めてのキスをし言う。


 唯愛「おはよっ!美華」

笑顔で元気に言った。

昨日の彼女の光景が見られていたことには気づいていない。


 美華「どぉしたのぉ~?...」


そして私は言う。



 ”一緒に走りに行こうっ!"と...



私達は服を着替え、久しぶりのランニングウェアを身にまとうことでテンションがあがった。


外に出て空を見上げると、今日は太陽が私達をしっかりと照らしていた。


久しぶりのランニング。


彼女との一緒にいれる時間も後もう少し。


2人は走り出した。


 唯愛「わたしさー!」


 美華「えー?何ー?」


 唯愛「美華に出会えて本当によかったと思ってるよー!だからー!これからもずっと一緒だからね!」

その事を聞き、彼女は言う。


 美華「ありがとーっ!唯愛っ!私もだよー!」

汗でわかりずらかったが、彼女の目に涙が溢れていた事に私は気づいていた。


ずっと一緒にいるから、お互い言葉で言わなくても分かっていると思っていた。


そうじゃない。



ずっとそばにいるからこそ、きちんと言葉にして言わないといけないんだと。


そう思った。


久しぶりに走った私達は、公園の周りを一周走り終え、久しぶりに園内のベンチに寄った。


 美華「ふぅ~!久しぶりに走ったけど、やっぱり気持ちいいねっ!」


 唯愛「だねっ!でもちょっと走らなかっただけで、体力がすごーく落ちてる」


そんな他愛もない会話をしていた。


すずめの鳴き声が聞こえ、太陽も完全に顔をだし、とても気持ちのいい朝を迎えた。


すると、僅かな風の流れに乗り、一瞬だけあの香りが横から漂ってきた。


その香りのする方を見てみると、そこにはランニングウェアを身にまとった彼がそこにいた。


 海さん「唯愛さん...」


昨日の事を思い出し、彼と目を合わすことが出来ずにそっぽを向く私。

でも懲りずに彼は言う。


 海さん「少し話があります。いいですか?」


美華が私の肩をポンッと叩いてきた。


 美華「私は大丈夫だからっ!ゆっくり話しな~!」

そお言って一足先に家に帰っていった彼女。


 その彼女が座っていた所に彼が座った。


 海「昨日は、すみませんでした」


 唯愛「...なんで海さんが謝るんですか?」


 海「...あれだけ、唯愛さんに会いたかった、頭から離れないとかいっておきながら、あの人の名前が出された瞬間動揺しちゃって...」


 唯愛「そりゃ動揺するでしょ...もう会えないと思ってた人が近くにいたんだから,,,」


 海「うん...けれど...動揺は確かにしたけど、これだけはいいたい!」


 唯愛「なんですか?」


 海「俺、唯愛さんの事気になってるんだって!」

その言葉を聞いて素直に受け止められない私。


 唯愛「そう...」

私は彼の事よりも小春さんの事が頭から離れられなかった。


 唯愛「小春さん。ホント可愛いですし、女子から見ても尊敬できるんですよっ...」


 海「...」


 唯愛「そんな人を好きになって、愛して、どうしてその後私なの?」

意地悪な質問をしたものだ。

そう...

これも彼の性格を知っているからこそ、言った事。


そして彼が答える。


 海「...わからない。けれど、今俺が見てるのは唯愛さんなんだ!確かに動揺はした!だけどその後もずっと唯愛さんの事ばかり考えていたんだ!」


 唯愛「そんなの一瞬だけかもしれないでしょ?」


 海「それは違うっ!」


 唯愛「それに本当かどうかもわかんないじゃないっ!」


 海「そうかもしれないけど...でも本当なんだ!」




 「.................」



しばらく沈黙が続く。


そして私達は、


 「プッ!クスクス!」


一緒に笑った。


そして私は彼に言う。




 「なんか私達、付き合ってるみたいですねっ!」と....

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