第32話 まだ未ジュクな私
美華「唯愛ー!海さーん!」
家から出てきた彼女が何かを下げて持ってくる。
唯愛「どおしたの?」
美華「見て見てー!じゃーん!」
そう言って彼女は下げてきたものを出した。
海「おぉー!美味しそう!」
そう。
彼女は私達に朝ごはんのお弁当を作ってきてくれたのだ。
唯愛「すごーい!これ美華が今の間作ったの?」
美華「昨日の夜からコッソリ準備してて、さっきちょっとだけお母さんにも手伝ってもらったんだけど、せっかくだし皆で外に食べようと思ってさ!」
昨日の夜の彼女が少し頭によぎる。
あれを見た前に作ったのか、後に作ったのかはわからない。
だけどその気持ちがすごく嬉しかった。
唯愛「美華!ありがとー!三人でここで食べよっ!」
そう言って、彼女が持ってきたピクニックシートを引き、皆で”いただきます”をした。
私と美華が最初にとったのは玉子焼き。
唯愛「う〜んっ!!美味しいっ!」
そして彼が一番初めに食べたのは、
海「この唐揚げ美味しっ!」
私は言う。
唯愛「こーゆー時ってメインは後から食べるんじゃないの?」
海「だって、先に食べとかないと後で取られちゃうかもしれないだろ?だし、お腹空いてるときに一番のメインを食べるのが最高!」
唯愛「ちゃんと唐揚げ3個あるじゃん!だれも取らないし、先にそれ食べたらお腹の中がビックリしちゃうよ!」
海「今のところはお腹絶好調だからっ!」
唯愛「後でお腹痛くなっても知らないからねっ!」
美華「クスクス...」
その笑いに私達二人は、彼女を見つめる。
美華「はいっ!皆さんの好きなように食べましょーねっ!」
外も暖かくなり、夏の花が開き始めた頃、私達は公園で世界で1番と言えるぐらいの幸せなひとときを過ごした。
それから1週間後。
美華が旅立つ時がきたのだ。
朝早く起き、いつものように二人でランニングをし、そして彼と出会い、3人で公園で朝ごはんを食べる。
海「美華さん。今日あっちに行かれるんですか?」
美華「はい!またしばらくはあっちで一人で寂しく頑張ります!」
海「そうですか。それは残念ですね...」
美華「なので、私がいない間、唯愛の事よろしくお願いします!」
唯愛「ちょっちょっとー!そんなん恥ずかしいからやめて!」
彼女がこうして、私の事を他の人に任せるのも珍しい事だ。
小春さんは同性ということもあったが、彼に関しては異性である。
そしてその言葉を聞き、彼が言う。
海「はい!しっかりと引き継ぎました。美華さんがいない間、俺が唯愛を守っておきます」
私は、彼女と彼の”引き継ぎ式”に恥ずかしくなり、最後に私が言った言葉で3人皆で笑った。
唯愛「私はもう未ジュクじゃないんだからっ!」
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