私が最期に植えた花
夜影 月雨
第1話 久々の再会
私はこの花を植えながら想う...。
"私はこれからもずっとあなたを愛しています"
10年前......
美華「唯愛ー!」
駅のホームで待っている私に、改札口の反対側から、大きく手を振ってくる彼女。
そう。
高校を卒業して約半年ぶりに、彼女は地元に帰ってきた。
彼女は全国でもトップクラスともいえる難関大学に見事合格し、地元から離れ一人暮らしをしていた。
私も彼女と一緒に行こうと目指してみたが、当然受かるはずはない。
私は小さな小さな地元の大学に通っていた。
そして今日から夏休みという事で、わざわざ私に会いに帰ってきてくれたのだ。
彼女の名前は「木下 美華」
中学から高校を卒業するまで、ずっと同じクラス。
そして私にとって、一番の友達。
いや、親友以上と言えるぐらい仲が良いのだ。
彼女が私を見ながら笑顔で駆け寄ってきて、切符を改札口に通す。
唯愛「美華ー!」
私は彼女が切符を取るのも待ちきれず、抱きしめにいった。
美華「ちょっちょっとー!まだ切符とってないからぁ~!」
唯愛「だって~美華に会える今日を、ずっと待ってたんだもん!」
私は、彼女と会う日を決めた一週間前から、ずっと楽しみで夜も眠れなかった。
遠く離れていたが、毎日ラインもしているし、電話もしている。
楽しかった事、悲しかった事。
その日あった全ての出来事を美華には話していた。
だが高校生の時、毎日彼女とずっと一緒にいた為、ラインと電話だけでは私の心は満たされていなかったのだ。
待ちに待った今日。
彼女に触れたくて触れたくてしょうがなかった私。
高校の時は、立場が反対だったのに...。
そしてなんとか切符を取り、美華は言う。
美華「ふう~!唯愛!私も今日を楽しみにしていたよっ!久しぶり!」
そお言って私の手を握ってきた。
この感じ。
すごく久々。
あの頃を思い出す、温もりある彼女のその手。
私は思い出したか、急に顔が赤くなった。
美華「もぉ~!さっきあんなに飛びついてきたのに~。可愛いのは相変わらず、変わらないねっ」
そお言って彼女はニヤリとする。
唯愛「恥ずかしいから言わないでっ」
それを聞き、またさらに私は赤くなった。
私達のいつものやり取りはこんな感じ。
その後二人は手を繋いだまま、駅地下にあるトンカツ屋さんに昼ご飯を食べに行った。
そう。
これが私の大好物な料理。
"トンカツ"と聞くと、あまり思い出したくない過去もあるが、それでもこれだけは止められない。
逆に美華は高校の時、あまりトンカツが好きではなかったが、私が作ったのを食べてくれて、そこから一気に自分の好きな料理ランキングで1位になったのだ。
私の一番大好きな料理を、彼女が好きになってくれたのは本当に嬉しい事である。
そして、トンカツ屋さんに入るや否や、二人が頼んだ、メニューは、
「おろしロースかつ御前っ!」
であった。
久々に会ったが、毎日ラインと電話で繋がってるはずなのに話が全く止まらない私達。
そしてようやく、いつもの会話もひと段落し、彼女はお茶を軽く飲み、あの事を口にする。
美華「ねぇ。海さんってどんな人?」
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