第38話 彼との真実
唯愛「高橋亮さんって、海さんのお友達の?...」
しょっちゅう彼からは"亮さん"からの事を聞いていたから名前を聞いた途端すぐにわかった。
唯愛「でも、なんで亮さんが私の母親と?」
私はそう聞いた。
そして、母が答える。
母「私が働いてる会社の部下なのよ。それに彼が、取引先である"海さん"を紹介してくれた人なの」
私はその事を聞いて唖然とした。
唯愛「お母さん!海さんの事知ってるの?」
母「うん。知ってるわ。だってあの人が私と唯愛を仲直りさせてくれたんだもの」
.............
会社の打ち合わせの日
海「来週この商品を発注しようと思うのですが宜しいですか?」
母「はい。よろしくお願いします...」
海「あれ?七瀬さん。元気ないですね。どうかされました?」
母「実は、娘とずっとうまくいってなくて...友達の家に遊びに行ったっきり帰ってこないんです。特に何をしたとかではないと思うんですけど、どうしてもいざ目の前になると話かけづらくて...私も昔から仕事ばかりで、なかなか一緒にいてあげることができなかったから...嫌われちゃったかな...」
海「...あの、七瀬さん」
母「はい」
海「七瀬さんの娘さん。きっとわかってくれていますよ。今あなたがちゃんと向きあえたらなと思ってるように。必ず、娘さんもそう思ってるはずです。だから信じてみてください。必ず成長して、お家に帰ってきますから。そしてその時、娘さんが一番大好きな料理を作ってあげたらいいと思います。そうすれば二人は必ず仲直りできますよっ!」
母「そう言っていただいて本当にありがとうございます。海さんと話すと、不思議と心が穏やかになって、”一歩前進してみるか”って思っちゃうんですよね。凄いと思います!」
海「本当ですか?僕にそんな力なんてないですよ。僕は、今まで色んな人に支えられてきました。人生終わった。と思った時でも誰かが支えてくれて..."亮"もそうです。だから僕自身も、少しでも誰かの支えになれたらなと思ってるんです」
母「本当に元気もらいました。ありがとうございます!ってか、海さん。私の娘さんの事すごく知ってるみたいにお話されてましたね」
海「そおですか?七瀬さんの娘さん、知らないですよ。"確か...唯愛さんの苗字、七瀬さんだったよな..."」
............
亮「彼、天然な所があるから、同じ苗字なのに気づかなかったんですよー。最後の最期まで」
私は母から聞いた彼の言葉を聞き、大粒の涙を流した。
ありがとうと言いたい。
今すぐ会いたい。
抱きしめたい。
私と母を仲直りさせてくれてありがとうと言いたいのに...
そして、亮さんが私の所に近づいて、ある物を渡してきた。
亮「これ...海さんから...」
白くて小さな四角い箱。
その中を開けてみると、そこに入っていたのは、キラキラと輝く宝石のついた指輪だった。
唯愛「こっこれ...」
言葉が詰まる私。
亮「そう...事故に遭った少し前、海はこの指輪を俺の所に持ってきた」
唯愛「どうして亮さんの所へ?」
彼が言うには、自分で持っておくと、会社のいじめられていたやつに取られてしまうかもしれないとの事だった。
あの時、彼が私に渡そうと思っていたのは...
婚約指輪だった。
泣き崩れる私。
彼は私と結婚するつもりでいたのに。
彼の笑顔が頭から離れず、涙がさらに止まらなくなった。
唯愛「どうして...どうして...」
まだ彼の事全部知らない。
これから...
これからと言うときだったのに...
私は泣きに泣き続けた。
その時、喫茶店の外で美華が私の様子を見て一緒に泣き、店内に入れずにいたことは、知らなかった。
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