第13話 知り合いの過去
海「唯愛さんは毎日ずっと走ってて本当凄いです」
美華との話もひと段落し、黙って下を向いていた私に、急に話が振られた。
少しヤキモチを妬いている私は
唯愛「はい。そうですね」
と冷たく返事をしてしまった。
首を傾げる彼。
私の様子を横目でチラッと見てにやける美華。
すると、彼女は彼に言った。
美華「あの海さん!さっきまで公園の周り走ってたんですけど、唯愛疲れちゃってて。でも私は元気だからもう一周走ってこようかなと思うんです!なので、誰かにさらわれないように私が帰って来るまでの間、唯愛と一緒にいてくれませんか?」
彼女はヤキモチを妬かすだけ妬かせ、その状態で私と彼を二人っきりにさせようとしていた事を知ったのは、後になってから聞いた。
海「はい。僕でよければ」
すぐに返事が帰ってくる。
美華「ありがとうございますっ!じゃあ二人ともごゆっくり~!」
そお言って彼女はこの場を立ち去っていった。
別に彼の事好きとかではないのに、彼女と彼が楽しそうに話しているのを見ていると妬いてしまった私。
二人っきりにさせてくれたのはいいものの、何も話しださない私に彼は慌てて会話を続けた。
海「美華さん元気だね~」
二人っきりになった途端に敬語がなくなる彼。
思わずドキッとしてしまった。
唯愛「そおですね」
海「ん??何か怒ってます?」
唯愛「別に...怒ってません」
自分の気持ちと、言葉がハチャメチャになる私。
敬語がなくなったのは嬉しかったが、二人っきりになっての第一声の言葉が美華の事だった事にさらに嫉妬した。
海「今日は天気がいいね。でも僕は曇りの方が好きだな」
ベンチに腰掛けた彼は照らす太陽を見上げながら言った。
唯愛「なんで曇りの方が好きなんですか?」
海「皆が好きな当たり前が、好きではないからかな...」
唯愛「??」
私は首を傾げる。
海「まあ..なんというか。太陽に照らされるほどの人間ではないってことだよ」
彼がまたあの切なそうな顔に戻った。
そして私は前から聞きたかった事をついに彼に言う。
唯愛「あの...前、昼間に最上さんを公園で見たんですけど、凄く悲しそうな顔をしていました。何かあったんですか?」
海「....」
唯愛「あっ、すみません。言いたくなかったら全然大丈夫なんです」
そしてこの話をし始め、笑顔が一瞬で消えた彼がこの言葉を言う。
海「...いいよ。だけど、話をするから....もう...二人で今みたいに話をするのは辞めよう」
その彼が言った言葉に私は固まってしまい、声をだすことすらできなかった。
なぜそんな事を言うのか。
まだちょっとした知り合い程度なのに。
ただ公園で何度か話したぐらいの関係なのに。
よほど言いたくないことなのか。
私が色々考えているうちに彼が、今まであった出来事を話し始めた。
思ってる以上に衝撃な内容過ぎて、頭が真っ白になってしまった私。
そして話終えた彼が立ち上がり、私に言う。
「本当にありがとう。さようなら。唯愛さん」
そう言って彼は公園から姿を消した。
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