第24通目 変わる距離感
俺たちは、それから駅へと向かった。
自宅から街までは一駅ほど離れているので一駅分電車に乗らないといけない。
「街並み変わったところもあるけど変わらないものもあるね」
「そうだね、でもこれからは一緒にいられるよね」
「うん、透夜くんが嫌だって言わなければずっと」
「俺もだよ、陽芽が嫌だって言わない限りずっと一緒にいるよ」
お互いに「ずっと」と言っていた。
でも、それが俺たちのこれからなのかもしれない。
昨日想いを告げてから俺たちの中の何かが変わった。
お互いに近づいていいことが分かったからかスキンシップが少しだけ増えた気がする。
正直こうして手を繋いで歩けるのが嬉しい。
「えへへ、透夜くんと同じ気持ちなの嬉しい」
「それは、俺もだよ。
俺達、結構似てるところが多いよね」
「うん、あのね。なんだかね。口にするととても恥ずかしいけど・・・してほしいことは言ってほしいな」
「人目が気になって絶対無理っていうの以外はそうするね」
流石に抱きしめたり、キスをしたりは恥ずかしい。
でも、恥ずかしいけど食べさせ合いはなんだか憧れる。
「えっと・・・食べさせ合いはしたいなぁ」
「あはは、同じこと考えてる」
俺たちの思考はやっぱり似てるんだな。
陽芽となら飾らずに歩んでいける気がする。
「今日は、楽しもうね」
「うん、お買い物だけじゃなくてデートも楽しもうね。
久し振りの街だからエスコートしてね」
「うん・・・といっても俺もあんまり街はこないんだけどね」
「そうなの?じゃあ、散策してもいいかもだね」
俺は、街には最近行った覚えがない。
実は、反対方面に複合商業施設があるからよくそっちにいく。
そっちにも街と同じものが揃っているから。
あれ?ならそっちでもいいような。
「ねえ、陽芽」
「なに?透夜くん」
「えっとさ、よく考えたら街と反対方向にイオンあるんだけど・・・そっちでもいろいろ揃ってるんだよね」
「そうなの・・・透夜くんはいつもいくのはイオン?」
「うん、最近はずっとそうだよ」
「じゃあ、街じゃなくてそっちにしようよ」
「ここからだと少し歩くけどいい?」
「うん、透夜くんと歩くの楽しいから」
陽芽は嬉しい言葉をくれる。
とても心が満たされていく。
帰ってきてくれてありがとう、陽芽。
でも、恥ずかしくて口にできないや。
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