第23通目 荷物を受け取ったら

食後、小休止をしていると玄関のチャイムが鳴った。


俺は、玄関のドアを開ける。


そこには、引っ越し業者が荷物を持ってやってきていた。


「お荷物をお持ちしました」


「ありがとうございます。荷物ってどれほどありますか?」


俺は、サンダルを履いて外に出る。


業者のトラックの荷台を見やる。


「大きな家具はなく、段ボールで5箱ほどですよ」


「でしたら玄関の中に入れていただけるだけで大丈夫ですよ。

後は自分たちでできますので」


「では、荷下ろしをさせていただきますね」


そう言って業者さんはてきぱきと作業をして帰っていた。


小物ばかりでごめんなさい。


貴重な時間を浪費させてしまった。


「透夜くん、私の荷物受け取ってくれてありがとう」


着替えを終えた陽芽が階段を下りてきた。


今日の陽芽は、赤いロングスカートに白いブラウス。


チェックのストールをしている。


コンタクトではなく、眼鏡姿だ。


なんだか、文学少女みたいだ。


「今日も可愛いね」


「えへへ、ありがとう。

眼鏡の時にそう言ってくれるのは透夜くんだけだよ。

でも、透夜くんに言ってもらえるのが嬉しい」


凄く照れくさくなった。


俺にとっても嬉しいことを言ってくれる。


「透夜くん、お荷物も来たことだしデートいこっ」


「うん、じゃあいこうか」


俺たちは、戸締りを済ませて家を出た。


あ、そういえば合鍵も作らなきゃな。


今日の行先は日用品を買わなきゃいけないから街かな。


「透夜くん、手・・・繋いでもいい?」


「いいよ」


そう言って、俺たちは手を繋ぎながら歩き出す。


昨日よりも、距離が近くなった気がする。


でも、なんだか嬉しいな。

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