第35通目 鼓動

少しすると陽芽が戻ってきた。


そして、俺の横に腰を掛ける。


「何見てるの?」


「ん?これだよ」


そう言って、俺はスマホを陽芽に見せる。


スマホは、先程と同じ動植物園のMAPが表示されてる。


「あ、明日行く動植物園のMAPだね」


「うん、どこへいこうかなって思ってさ。

陽芽は、行きたいところある?」


「全部回るには時間が足りないよね・・・何度か行きたいよね」


「そうだね、じゃあ明日はどこメインで回ろっか?」


「遊園地・・・動物園・・・植物園・・・うーん、悩むね」


彼女もまたさっきの俺と同様に悩み始めるのだった。


やっぱり、俺と陽芽は似ている。


「ダメ、決めれない。明日決めよ」


「そうだね、じゃあ明日行ってから決めよう」


「そうとなったら、早く寝よ」


そう言って、陽芽は俺の腕を引っ張って寝室へと向かった。


積極的だなと思ってしまったが、そう言うわけではないと頭を振る。


彼女は、そんな気持ちはないと思った。


きっと今じゃない。


「うふふ、透夜くん。顔赤いよ。

一体何を考えてたのかな?」


陽芽は、俺の顔を見てニヤニヤしていた。


恥ずかしい。


彼女は、いたずらっ子のような笑みを浮かべていた。


「えへへ、透夜くん」


そう言って、陽芽は俺に抱き着いてきた。


俺の心臓に、左耳を当てている。


「ドキドキしてるね」


「そりゃするよ」


「でも、落ち着く」


ボスンっと柔らかな音がして、俺は陽芽に押し倒された。


やがて、俺の胸の上から寝息が聞こえてきた。


陽芽は、俺の心臓の音を聞きながら寝てしまったようだ。


俺は、寝れそうにない。


ダメだ、ドキドキが止まらないよ。

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