土曜日

第21通目 抱きしめたい

翌朝。


結局俺たちは夜通し手を繋いだまま寝ていたようで、起きた今も右手には陽芽の手の感触があった。


「えへへ、透夜くんおはよう」


「おはよう、陽芽。

えっと・・・今日からは恋人としてよろしくね」


「う、うん。えへへ、恥ずかしい」


そう言って、陽芽は顔を赤くしていた。


なんだか、すごく幸せなんだけど。


どうしてだろう。


凄く心が満たされてる。


なんだか、頭を撫でたい。


凄く抱きしめたい。


「ねえ、陽芽」


「なに?透夜くん」


「抱きしめていい?」


「え?いいの?」


そう言われた瞬間。俺は、抱きしめていた。


柔らかい。


華奢なんだな。


これが女の子なのか。


それに、とてもいい匂いがする。


「えへへ、今日は随分積極的なんだね。透夜くん」


「なんだか、抱きしめたくなったから」


「そう想ってもらえてるなら私も嬉しいよ」


陽芽はそう言うと抱きしめ返してきた。


やっぱり幸せだな。


昨日は、ずっとこうしたかったのかもしれない。

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