第18通目 手の温もり

透夜くんがいない。


どこにいったんだろう?


お部屋に戻ったのかな?


たしか、透夜くんのお部屋は変わっていなければ2階だったはず。


私は、彼の部屋へと向かうことにした。


階段を上がっていく。


なんか、凄く物音がする。


ドアの前に立ち、コンコンとノックをする。

「はい!ひーちゃん?入っていいよ」


ドアの向こうから小さな声でそう聞こえた。


私は、ドアを開けて中に入っていく。



陽芽が、部屋に入ってきた。


俺の部屋は、12畳の大きな部屋だ。


最初は、どうしてそんなに大きな部屋かと思っていたが。


普段使いのセミダブルのベッドの横に同じタイプのセミダブルのベッドが並んでいる。


少し手狭にはなる物のそれでも余裕がある。


たぶん、元々こうするために広かったんだと思った。


「とぉくん、そのベッドって?」


「ひーちゃんの分だよ・・・お袋が用意してあったみたい。

物置にひーちゃんの分って書いたメッセージがあったから」


俺は、陽芽に付箋を見せる。


彼女の顔が少し赤い気がする。


俺は、立ち上がり彼女の額に手を当てる。


そして、しまったと思った。


俺は、なんでこんなことをしてしまったんだろう。


あれ?引き離されない。


それに、手をそのまま抑えられている。


「とぉくんの手ひんやりして気持ちいい、それに大きいね」


陽芽の手がポカポカして温かい。


もしかして、湯あたりしていたのかな。


「あのね・・・とぉくん。わたし、いやじゃないよ。

とぉくんの手好き・・・」


「え・・・えっと、俺もひーちゃんに触れたかったんだ」


俺たちは、お互いの手を握れるところまでは近づけるようになっていた。


でも、まだドキドキするなぁ。


あ、俺もお風呂行ってこよう。


ベッドも出来上がったことだし。


「俺も、お風呂行ってくるよ」


「うん、行ってらっしゃい」


そう言って見送られた俺はお風呂に行くことにした。

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