第19通目 大好きな人の香り
「いやいやいやいやいやいやいや、ちょっと待とうか。
この風呂って陽芽が使った後じゃん」
だから何と言うわけではないけど。
好きな子が使った湯舟に浸かるってなんだかドキドキするんだけど。
彼女に抱きしめられているような。
だめだ、だめだ。
考えちゃダメだ。
そして、俺は悶々としながら葛藤を繰り返し湯あたりするのだった。
◇
私の前にはベッドが2台ある。
きっと1台は透夜くんが普段から使ってるベッドだよね。
私は、そのベッドに倒れ込んでみる。
ふわっと、透夜くんの匂いが香る。
えへへ、嬉しい。
なんだか、透夜くんにはぐされてるみたい。
きゃあ、何考えてるんだろう。私。
私は、透夜くんの枕に顔を埋めていた。
くんかくんか。
あー、落ち着く。
「ひーちゃん、なにしてるの?」
ドキっと、私の胸が高鳴る。
透夜くんに見られた。
「えっと、えっと・・・透夜くんの匂いを」
「ひーちゃん、はずかしいよ」
透夜くんが顔を赤くしていた。
可愛いなぁ。
なんか抱きしめたいな。
「ハグしていい?」
「え?ひーちゃん?」
あ、声に出してたみたい。
顔が熱い。
「えへへ、なんだかとぉくんの匂いが落ち着くんだもん」
「えっと・・・嬉しいよ。
あのさ、俺もだよ。
ひーちゃんの匂い好きだから」
そっか、透夜くんも同じだったんだ。
凄く嬉しいな。
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