第19通目 大好きな人の香り

「いやいやいやいやいやいやいや、ちょっと待とうか。

この風呂って陽芽が使った後じゃん」


だから何と言うわけではないけど。


好きな子が使った湯舟に浸かるってなんだかドキドキするんだけど。


彼女に抱きしめられているような。


だめだ、だめだ。


考えちゃダメだ。


そして、俺は悶々としながら葛藤を繰り返し湯あたりするのだった。



私の前にはベッドが2台ある。


きっと1台は透夜くんが普段から使ってるベッドだよね。


私は、そのベッドに倒れ込んでみる。


ふわっと、透夜くんの匂いが香る。


えへへ、嬉しい。


なんだか、透夜くんにはぐされてるみたい。


きゃあ、何考えてるんだろう。私。


私は、透夜くんの枕に顔を埋めていた。


くんかくんか。


あー、落ち着く。


「ひーちゃん、なにしてるの?」


ドキっと、私の胸が高鳴る。


透夜くんに見られた。


「えっと、えっと・・・透夜くんの匂いを」


「ひーちゃん、はずかしいよ」


透夜くんが顔を赤くしていた。


可愛いなぁ。


なんか抱きしめたいな。


「ハグしていい?」


「え?ひーちゃん?」


あ、声に出してたみたい。


顔が熱い。


「えへへ、なんだかとぉくんの匂いが落ち着くんだもん」


「えっと・・・嬉しいよ。

あのさ、俺もだよ。

ひーちゃんの匂い好きだから」


そっか、透夜くんも同じだったんだ。


凄く嬉しいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る