第15通目 二人だけの誕生日会

陽芽は、対面の席に座った。


「とぉくん、お誕生日おめでとう」


「ありがとう、ひーちゃん」


2人だけの誕生日会かな。


今まで、誕生日会なんてしたことは・・・そっか10年前からしたことがないのか。


あの頃は、陽芽が誕生日会を企画してくれてたんだよな。


だから、いなくなってそれがなくなって。


「俺の誕生日を祝ってくれるのはひーちゃんだけだよ、ありがとう」


「えへへ、実はね。私もなんだよ。

とぉくんがいないからあれからずっと誕生日ってお祝いしてなかったんだから」


俺たちは、遠く離れていても同じ生活をしてたんだろうな。



私は、転校先では友達もできなかった。


透夜くんがいないことが悲しくて。


いつの間にか、一人でいることに慣れてしまった。


ここに来るのに、お母さんにいろいろ相談して服を買ったりお化粧してコンタクトを買って。


それにしても、お母さんがあんなことを考えていたなんて。


でも、今日来れたから透夜くんの誕生日を祝える。


よかった。


あーんしたいな。


でも、恥ずかしい。


嫌われたくないから・・・やめとこう。



陽芽が、少しぼーとしている。


どうしたんだろう。


とりあえず、折角作ってくれたんだし温かいうちに食べなきゃ。


「ひーちゃん、いただきます」


「あ、はい。召し上がれ」


それから、俺たちはテーブルに載る料理を食べたいく。


ハンバーグ、サラダ、それにご飯。


質素だけど、あの短時間で作ってくれたんだから、すごいな。


「おいしい!」


「えへへ、ありがとう」


満面の笑顔を浮かべる陽芽。


俺は、ドキっとした。


心臓の音がうるさい。


でも、陽芽の顔も赤いな。



透夜くんのご飯を食べる顔が可愛い。


そんな顔して食べてくれるなんて嬉しいな。


なんだか、凄くドキドキする。


なんだか狡い。


透夜くんが可愛すぎる。


自分で作った料理の味がわからない。


「とぉくん、ケーキもあるよ」


私は、冷蔵庫に仕舞った小さなケーキを取りに行った。


チーズケーキ。


透夜くんの好きなケーキ。


実は、透夜くんに内緒で買ったの。


あ、驚いてる。


よかった、サプライズできたみたい。


普通のケーキだけど、誕生日ケーキでいいのかな。

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