第17話 ギルド票
私はハッと目を覚ます。
むくりと上体を起こし、目を擦る。
部屋を見渡せばミッド達がそれぞれ大の字になって寝息を立てて寝ている。
あれからドンチャン騒ぎをし、それから.....記憶がない。
疲れて眠ってしまったのだろう。
私はミッド達が起きないようそっと部屋を出る。
宿の外はまだ日の出前で辺りは暗く少し寒い。
私はまず練習として顔を濡らして眠気を追いやる。
次にお気に入りの木の棒を掴み、日課となっている素振りをする。
そこでふと手が止まる。
自分は昨日誰かのために戦う者を無常にも打ちのめしてしまった。
あの行いは騎士としてはあるまじき行いだったと悔やまれる。
グッと力を込めた拳を見る。
私は言葉にならない様々な感情を振り払うように木の棒を振るう。
脇目も降らず素振りしてると鐘の音が聞こえた。
これは6時の鐘か。
そろそろ皆を起こさないと。
私はそこで自分にまとわりつくような視線を感じ、辺りを見回す。
辺りには誰も見当たらない。気のせいか?
私は素早く体を拭き、皆を起こしに行く。
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あれから皆を起こし、色々と準備をしてギルドに向かった。
ギルドの中は仕事を貰いにきた人や出かける前の冒険者でごった返してた。
「よし。お前ら行くぞ!」
ミッドが緊張した面持ちで受付に向かう。
私達もミッドの後をついていく。
「おはよう!」
「あら。おはようございます。」
受付にいたのはいつもの女性だった。
「お、俺たちのギルド票を受け取りにきたけど出来上がってるか!」
「えぇ、出来上がってるわ。ちょっと待ってて。」
そう言って何かを持ってくる。
「はい。これ。無くさないでよ。」
そう言って手渡されたのは鉄で出来た薄く楕円形の物だった。
表面に何か刻まれているがそれがなんて書かれているのかわからない。
「それとギルドに入るにあたって規則て物があるからちゃんと聞きなさい。」
それから長々と規則に付いて聞かせられた。
曰く雇い主を裏切るような事、盗みはしない事。
もしやったとなった場合はそれ相応の罰則があるとの事。
殺人等その地の領主が法で取り締まる行為を行った場合はその地の領主の法に従う事。
ギルドの一員として模倣的な行動を行う事等を伝えられた。
「わかりましたね。わかった場合はギルドに誓いを。」
「誓いて何をすんだよ。」
「はー、仕方ありません。右手を握って胸に当ててください。」
言われた通りの体勢をそれぞれ取る。
「復唱してください。私は」
「私は」
「私は」
「私は」
「私は」
「ギルドの誇りを胸に」
「ギルドの誇りを胸に」
「ギルドの誇りを胸に」
「ギルドの誇りを胸に」
「ギルド。誇り。胸に」
「活動する事を誓う。」
「活動する事を誓う。」
「活動する事を誓う。」
「活動する事を誓う。」
「活動。誓う。」
「これで誓いの儀式は終わりです。」
「これで俺たちはギルドの一員なんだな!」
女性のええという返事でミッド、アン、ラックの3人が喜ぶ。
「そこで、」
女性の声で喜んでいたミッド達がビシッとやんだ。
「あなた達には新しい仕事を紹介します。」
そう言って女性は手元に置かれていた小振りの鐘を鳴らす。
「お、ようやく俺達の番か?」
そう声が聞こえた。
振り返ると4人が近づいてきた。
「あ、あなたは」
ミッドとラックが驚き目を開いてる。
その気持ちはわかる。
私もその集団の中に見知った人物がいるからだ。
「よう小僧共、俺はチェスターだ。風呂ぶりだな。」
「フィルだ。よろしく。元気にしてたか?」
「ハリーだ。これからよろしく。」
そしてエルフの女性が挨拶をする。
「久しぶりだわ。ウルファよ。よろしく。」
「まずはそうだな。立ち話もなんだ。とりあえず座って話そう。」
そうチェスターが促す。
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「さて、お前らにやってもらいたい仕事はぶっちゃけ簡単だ。」
私達がそれぞれ自己紹介をした後、金髪黒目の装備も胸当てと両肘膝に簡単な装備を付けたまとめ役と思われるチェスターが話始める。
「俺達は明日、この街を商人の馬車と共に出て半日で到着する村に向かう。」
「ただし、ただの村ではない。訳ありの村だ。」
そう言ったのはチェスターよりも防具はそこまでつけてない森の中なら紛れ込めそうな外套を纏ったフィルだ。
「その村の近くでは何やら大型の魔物の目撃例がいくつも挙げられている。俺達はその調査に赴く。」
「あのーて事は俺達も魔物と戦うのか?!」
ミッドは私も思った事を聞く。
「いや、お前達はあくまで見学だ。戦闘はしなくていい。」
そう言ったのはここにいる誰よりも筋肉質な体を持ったハリーだった。
「そう。お前達はあくまでギルドの冒険者とはどういう仕事をするのかを知る為の見学だ。そう肩肘気張れせれるな。」
ハリーから話を引き継いだチェスターがそういう。
「さってここで質問タイムだ。何かあるかな?」
そうチェスターの質問にラックが答える。
「魔物はどのようなものと戦うかわかっていますか?」
「お、いい質問だな。ウルファ何かあるか?」
そう話を振られた革鎧を一式纏ったエルフの女性ウルファが答える。
「現地に行ってみないとよくわからんが分布的にオオトカゲではないかと思われる。まぁ、これはあくまで推測だがな。」
「そういう事だ。他に質問は?」
「じゃあ、当日何か持ってくる物は何かありますか?」
アンが質問を投げかける。
「お、そうだな?まぁ、基本的に商人護衛に荷物の載せ下ろしも兼ねているから半日分の食料、水と後は自分の身を守る武器があるといい。他に何かあるか?」
そこで質問は私達からはなくなり静まる。
「よし。それじゃ明日8時にここギルドに集合。それまで各自必要な準備をしておく事。」
こうして私達の仕事が決まった。
その後、私達は自らの近況等を話したり足りない装備等をどこで買うか話し合った後別れた。
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