エピローグ 逸れ者 春風に送られて
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「お疲れ様。参考人の様子はどうだ?」
救貧院炎上・市長逮捕から丸1日たった。
私はあの時助けた少女の様子が気になり、様子を見に来た。
「特務部隊の方!これはこれは!」
領軍守備部隊の囚人等を管理してる部署の看守の任に当たっている隊員に敬礼をされてしまった。
このような対応も慣れているのでこちらも敬礼し、先に下げる。
「昨日保護された参考人の少女ですが食事や水を出したのですが一切手を付けず。ずっと膝を抱えたまま部屋の中央に座ったままです。」
「そうか。話がしたい。よろしいか?」
「えぇ。ですが。書類に記入事項を記入して下さい。」
そう言われ、一つの帳簿を渡された。
出入管理簿。またこれか。
「またこれか。この建物に入るのにも書いたぞ。」
「これは決まりでして、ですがここでは名前だけで構いません。杖や刃物の預かりや名前、年齢、職業、政府に勤めてられるならどこに勤めてるのか書いて審査など煩わしい手続きはありませんよ。」
彼の話を聞きながら管理帳に名前を書いていく。
そして彼に連れられ彼女がいる部屋へ案内された。
彼がじゃらじゃらと鍵束から鍵を取り出し、扉を開ける。
「終わったら声をかけて下さい。」
そう言ってその場を離れて行ってしまった。
入って左側には鉄格子が設けられ、中には使った痕跡が見られないベットにトイレそして中には報告通り、1人の少女が座っていた。
「やぁ、覚えてるか?私はセイジだ。ギルド票を見させて貰った。リーティエという名前なんだてな。」
彼女は変わらず座ったまま微動だにせず。
彼女は何故燃え盛る救貧院に入って行ったのか?
状況的に何か関係性があるとしてこれから調査をされる。
俺は彼女に視線を合わせるように床に座った。
「友達はどうしてる?」
彼女はしばらく間をおいてから首を降った。
「…そうか。」
この前あった時は友人の事を話していた。
だが、今は否定している。
友人とあっていないのか、あるいは…
「家族はいるかな?」
そう聞くと僅かな反応を示した。
どうやら家族はいるようだ。
「家族がいるならこの施設の者に言ってくれ。きっと助けになってくれるだろう。」
俺がそう言うとその小さな体を震わせてる。
『私PQI家族EUHE。』
この言葉は!
内心、少女に驚いてると彼女は話を続けた。
『私PQI家族EUHE。お父様、お兄様、JYDR使用人HEURH。AUSHみんないない。場所WO知らない所TE連れ去られて全部無くなった。困ってた時JE知り合ったミッドにアン、ラック。JEHS2人UEUSHS生きてるのかわからない。HEHR私EHミッドGS殺してしまった!JE嫌よ!助けてよ!この先どうしたら良いのよ!』
彼女が彼の国の言葉を。
それもスラスラとまるでその言葉を自然に生活で使っていたかのように話している。
それに驚いているが、そうではない。
ここは彼女の助けになるような事を言わなくてわ。
それが大人としての自分の役目だ。
『そうか。家族。いるのか。』
私が言葉を変えたのに驚いたのか彼女は私の方を向く。
『大人。助言。区切り。付ける。3人。思い出。大切。宝物。だからこそ。前。向く。それに。家族。消えてない。家族。探す。帰る。探す。諦めるな。君。出来る。』
拙い文章だったが、彼女に伝わったのだろうか?
何分隊長に近い将来役立つから覚えておけとポンと投げ渡された資料(機密レベルは低め)に乗ってた彼の国の言葉だ。
そう心配してると彼女が私に向かって微笑む。
どうやら元気が出たらしい。
「それでは私は行くよ。じゃあな。」
彼女はきっと大丈夫だろう。
私は部屋を出て、彼女を保護してる担当官に彼の国の言葉を現地人並に話せる事。
彼女に家族がいる事を伝えて、帰った。
翌日、彼女が檻から消えた事を聞かされ、丸一日取り調べを受ける羽目になったのは別の話。
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月が照らす闇夜の中。
私はミッドの死体を埋葬後、貨物車の中に忍び込む。
貨物車の中は木箱が所狭しと置かれているが子供の私ならなんとか入りそうだ。
柵を乗り越えて巡回する警備員に気をつけて乗り込むだけだから思ったより簡単に出来た。
セイジの励ましで私の今後を決める事が出来た。
故郷に帰る。その為に情報がいる。
だから故郷の場所の情報の為にシュトという場所に行く事にした。
前に聞いた事がある。
シュトにはこの世のあらゆる物が集まると。
なら私の故郷の事も行けばわかるだろう。
開いた扉の隙間から風が流れてくる。
空を見上げる。
空には白き月が燦然と輝き街を照らしてる。
この街に来てから様々な事に出会った。
ミッドにアン、ラック。
ギルドに路地裏の子達。
パン屋の夫婦にチェスター達のパーティ。
「ふふっ」
自然と微笑んでいた。
シュトではどんな人と出会うのだろうか?
ガコン。
貨物車が揺れる。
魔導列車が発進したようだ。
「最後にアンとラックに合いたかったな。」
でも、自分はミッドを殺めてしまった。
これで良かったのかも知れない。
次第に速度をまして行く魔導列車。
離れて行く。街が離れていく。
その光景を見て、扉を閉める。
少し眠くなってきた。
そういえば捕まってから眠ってないのを思い出した。
慣れた硬い床。
そこにはふわふわの毛布もない。
でもそれでも大丈夫。
私は壁にもたれかかり瞼を閉じる。
揺れる寝床に煩わしさを感じるも次第に意識がなくなり、眠りに着く。
おやすみなさい。現実。
あわよくば、夢に帰れますように。
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はぐれ狼のセンティエログリージョ-少女はただ群れを探す- 紅羽 @pasutadaisukiman
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