第9話 街の外には
私達は薬草を取りに行く事になった。
その準備も含めて円になって話し合う事になった。
「ふん。この葉っぱを取ってくればいいんだな。」
ミッドが葉っぱを弄りながらそう呟く。
「薬草。場所。知ってるの?」
私が皆に尋ねる。
「いや。壁の外にあるて事しか知らないが。」
「私も知らない。」
じゃ、どうするんだろう。
「何。そこは心配するな。ちゃんと宛てはあるからよ。
それより!誰が剣とナイフを持つかて事だよ。」
私達の真ん中には武器屋で買った剣と比較的刃こぼれが少ないナイフが置かれていた。
誰が持っても変わらないと思うがどうしよう。
「はい!はーい!俺が持つ!」
そう言ってミッドが手を上げた。
まぁ、あの剣はミッドが持っていても問題ないだろう。
「あとはラック!お前が持てよ。」
「お、俺が!?」
「そうだよ。こうゆうのは男が前に出て戦うものだろう。」
「わ、わかったよ。」
「じゃあ私達は荷物係ね。」
こうして行く前の話し合いが決まった。
「それで。どこに。行くの。」
宿を出て繁華街に向かう途中に聞く。
「そんなの決まってる!冒険の情報を求めるならギルドに行くのが通りてものよ!」
ギルド?何回も行っていたがそんな場所でもあったのか。
そうして私達は他愛もない話をしながらギルドに向かった。
いつものギルドに入り、いつも通り奥の受付に行かず壁に飾られてる掲示板を見る事に。
「何してるの?」
「冒険に出かけるさいはこうやって依頼がないか見るんだよ。それからいい仕事がないか探すんだよ。」
「ふーん。」
でも私達-
「字。読む。ない。」
「そうだけどー。雰囲気だよ。雰囲気。」
そういって掲示板を離れて受付に向かった。
「なぁ。ちょっといいか?」
ミッドが受付の縁に捕まって声をかける。
「お、どうした。」
今日はいつもの女性ではなく男性の人が対応してくれた。
「この葉っぱ探してるんだけどどこにあるか知らない?」
葉っぱを見せて尋ねる。
「ん?あぁ。これは北の森の陽当たりがいい場所に生えてるて聞いた事があるな。」
「北の森か。ありがとーさん。」
「どういたしまして。あと気をつけなきゃいけねぇ事があってな。」
「気をつけなければいけない事?」
アンが聞き返した。
「ああ。その森には当然魔物がいるんだが手前がは大人しいやつらしかいない。だが森の奥には気性が荒いやつがいるから気をつけろよ。」
「お、おう。」
「特に最近じゃシーフウルフが住み着いたて噂だよ。」
「シーフウルフ?」
シーフウルフ。
聞いた事がある。
それは風を従え荷物を奪って行く凶暴な狼型の魔物だったはず。
「手を出さなければ害が無いから放置されてるけど討伐対象として依頼が出てるほどの強さを持っている。」
「討伐したら報酬貰えるんだよな!」
ミックが興奮しながらそう聞いた。
「ああ、そうだが。お前らガキンチョが手を出しちゃならねぇ相手だ。間違っても手を出すんじゃねぇぞ。さもなくば、」
「さもなくば」
「お前らが餌になっちまうぞ!」
男が声色を変えて脅かしてくる。
「わ、わかったよ。気をつけるって。」
「よし。ならいい。気をつけて行ってこいよ。」
そう言って私達を送り出してくれた。
「さー!行くぞ!」
ミックが元気よく声を出す。
私達は途中までは人通りが多い道を話しながら歩くが途中から道を外れてあまり人が通らなそうな裏道を通っていく。
「ねぇ。どこ。行くの?」
「どこて?そりゃあ街の外だよ」
私でもわかる。
普通、街は魔物が立ち入らないように高い壁で囲われてるものだ。
この先に出入りする門はどう考えても無さそうだ。
「大丈夫だよ!任せときな。」
私が不安そうにしてるとそう声をかけてくれた。
辺りはだんだん崩れた建物やあまり身なりがよくない格好をした人がうろつく退廃とした風景になっていった。
「ねぇ、門から出るんだよね?」
私は改めてミックに尋ねる。
「いいや。門からは出ない。」
ミックがそう答えた。
ではどうするんだろう。
その疑問にラックが答えた。
「ギルド証がないと門はな、出入りのたびにつーこーぜい?ていうのを取られるんだよ。俺達のような奴らにそんなもん払う余裕はない。」
それはそうだ。
お金を取られるなら外へ出ていけない。
「そこで俺達はこうするのさ。」
ミックがある壁の前で止まる。
そこは一枚の木の板が立て掛けてあった。
「じゃじゃーん!」
板を退かすとそこには私達なら這いつくばっていけば通れそうな小さな穴が空いてあった。
「ここを通って行くんだ。さぁ誰かにとやかく言われる前にさっさと行くぞ。」
こうして私達は壁の外に出た。
外には広い若草が生い茂る草原が広がっていた。
この光景になんだか懐かしくなり、哀愁を感じ泣きそうになった。
「お、おい大丈夫か?」
ラックが心配して声をかけてくれた。
「大丈夫。懐かしく。感じただけ。」
「大丈夫ならいいんだけど。」
「おーいいつまでそこにいるんだー!置いて行くぞー!」
ふと声の方を見るとミックとアンが少し離れた所から私達を呼んでいた。
「今行く!ほら行こう。」
私は頷きミック達のところに向かって歩いていった。
「街。外。広い。すごい。」
「あぁそうだろ。ここなんて序の口街の外にはもっとすげぇ場所があるんだ!」
私達は森に向かう道すがら外について語る。
「この世界にはこの街より大きな街や本物の王様が住んでる城に未知に満ちた迷宮や天を貫く山とか色々あるんだ!」
ミックが私の知らない外について語る。
「俺はいつか冒険者になってそんな世界を見て回りてぇと思ってるんだ!」
いいね。それ。私も自身に起きてる問題を解決出来たら冒険をしてみたい。
私は微笑んだ。
「お、ミック夢語るのもいいが森が見えて来たぞ。」
そうラックに言われ、気がつくと森が見えてきた。
ここに薬草があるのか。
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