第15話 あるパン屋での出来事

私はいつも通り5時を知らせる鐘で目を覚ました。


いつもならここで特訓を行うが今日はそれをせずに皆を起こさなければならない。


「起きて。5時。鐘。なった。」


「ん。なんだよ〜。寝かせろよ〜。」


私は皆を揺すり続ける。


ようやく起きると皆でパンを分け合って、朝食を取る。


「ふあ〜。それにしても眠い。」


ミッドが大きな欠伸をする。


「もうしっかりしてよ。今日は試験の日なんだから」


「そうだぞ。今日の仕事さえ、きっちりこなせば俺達はギルドの一員として認められるんだぞ。」


「それはそれ。寝みーもんは眠いんだよ。」


そう文句を言いながらも食事を進めていく。


食後、私達はギルドに向かった。


「あら来たわね。」


ギルドの受付にはいつもの女性がいた。


ちょっと待っててと私達を待たせ、受付の所から出て来て私達を横に整列させる。


「うん。ちゃんと洗って来たようね。これならお店に行かせられるわ。」


どうやら私達の格好は合格のようだ。


「それじゃ。ここに行って。」


一枚の紙をミッドに渡す。


私達はその紙が気になり、覗き込む。


字は読めないが何かの地図が書かれている。


「ここに行けばいいんだな?」


「そうよ。そこで1日働いて店の人からサインを貰えば合格て判断だから頑張りなさい。」


「よーし!それじゃみんな行こうぜ!」


ラックに急かされ、私達はギルドを出る。


私達が向かった所はこの街で金持ちではないがそれなりに金を持っているこの街の大多数の人が暮らす住宅街。


その一角についた。

その建物は前面はガラスが貼られており傍に扉が付けられており、中の様子が見える作りになっている。


「パン屋だね。」


「そのようだな。とりあえずノックしてみよう。」


そう言って扉を力強く叩く。


中から返事がない。


「返事がないぞ?」


「もう一度叩いてみようぜ。」


そう言ってミッドが叩く。


そうすると中からはーいと返事がした。


しばらく待っていると扉が開かれた。


「はーい。あらどうしたの?」


中から体の肉付きがよい中年の女性が現れた。


「ギルドの紹介できました。今日一日働かせてください。」


そう言ってラックがギルドで貰った紙を渡す。


「あら、貴方達なのね。ささ、中に入って。」


中に入り、店の奥へと案内される。


「あなたー!ギルドの子が来たわよ!」


案内されて入った所は厨房だった。


その厨房の窯の前にがたいのがっしり中年の男性がいた。


「ようお前さん方がギルドの紹介で来た奴らか。」


「あぁ、今日一日よろしく。」


ミッドが返事をする。


「ふん。躾のなってないガキだな。」


そう言って私達を一瞥する。


「ふん。まぁいい。ガキども。何かしたならタダじゃおかないからな。」


「まぁ、そんな事言って。」


ふんと言って男性は作業に戻る。


「大丈夫よ。あの人は気難しい所があるだけだから。」


「はぁ。」


「それじゃテーブルに置かれてる籠を持ってこっち来て。」


指示されたテーブルの上には大きめの籠が沢山置かれていた。

持ってみるとずっしりとかなり重かった。


「重いなこれ。」


「あら?大丈夫?2人で持っても大丈夫よ。」


「大丈夫です。なんとか持てるから。」


「まぁ、元気があって良いわね!」


ラックがそう言い私達は裏口から外に出る。

そこには一台の人が引く二輪車が止められていた。


「はい。ここに載せて。」


私達は籠を二輪車に載せる。

それから私達は何回も往復して籠を二輪車に載せていく。


「ふぅ、ようやく終わったね。」


アンが最後の籠を載せて息をつく。


「ご苦労様。でも仕事はこれからよ。これを引いて付いて来て頂戴。」


私達はそれぞれ返事をし、こういう時はお馴染みの持ち場があり、前ミッドとラック後ろからアンと私が押していく。


「それじゃ、レッツゴー!」


女性の掛け声のもと二輪車が進む。


「なぁ、これからどこに行くんだ?」


ミッドが引きながら目的地を訪ねる。


「あら?そういえば言ってなかったわね。ごめんごめん。私達が行くのは市場よ。」


「市場?ていうとこれ全部パンなの?」


「そうよ。この前、市場の元締めにパンを市場で売らないか?て誘われてせっかくだからやってみる事にしたのよ。」


それからは今日私達がやる事を説明された。


「今日あなた達がやるお仕事は呼び込みとパンを並べていく事とパンが盗まれないように見張る事だわ。」


パンを見張る?


私が不思議に思ってるとアンがこっそりと教えてくれた。


「リーティエはやった事ないと思うけど市場は複数で襲えば食べ物が手に入るから絶好の場なんだよ。」


ふむ。そうなのか。確かに空腹ならなんでもやれそうな気がする。いや、なんでもしなくちゃ待ってるのは死だ。それは必死なのだろう。


そうこうしてると市場に到着した。

市場はすでに営業してる店もあったが慌ただしく店開きの準備をしてる人達で賑わっていた。


「えーと私達の所はここね。さ、私達も開店準備しましょう。」


私達は二輪車を女性の指示された場所に止め、歩道に向くように大きめな布を地面に引く。

それから女性の指示通りにパンを並べていく。


「おぉ!すげぇ白パンだ!」


「こっちは果物を混ぜて焼かれてる。」


「こっちはサンドイッチがあるよ。」


私達は二輪車から下ろされるパンを宝石を見たように驚いてる。

すごいパンてこんな種類あるんだ。私が家にいた時は白いパン遠出した時は黒いパンだったからあまりの種類に私も驚く。


「ふふ、これがうちのこだわりよ。あの人がこだわって作ってるんですもの。」


私達は食べたい欲と宝石のような驚きながら開店準備をする。

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