第3話 逃げる→燻る
駅中の全員から目を向けられどうしようか動揺してるとミッドの叫び声が辺りに響く。
「逃げろーーー!」
それを合図に小汚い大人が叫び声を上げながら私を襲う。
「うおおおおおおおおおお!」
私は避けるように前方に飛び込んだ。
受け身で地面に触れるタイミングで前転を行い、すぐに立ち上がり走り出す。
「くらえーー!」
逃げてると今度は物拾いの少年が棒を持って襲ってくる。
横薙ぎに振られた棒をスピードを殺さないようにスライディングで潜り抜けた後、急いで立ちあがろうとするが少年が棒を振り上げる。
これはかわせないと腕を頭上で組んで頭を守る。
「おりゃああ!」
誰かの掛け声と共に少年が吹き飛ぶ。
腕を下ろして見るとラックが体当たりをして少年を吹き飛ばしていた。
「いくよ」
そう言って腕を引っ張って立たせる。
そのまま彼に引っ張られながら駅を出る。
「危ない!」
出たと同時にラックに棒が振り下ろされそうになっていたので彼を引っ張って当たらないようにする。
棒は空振りに終わったものの危険な状態なのは変わらない。
「ラック、どうしよう!」
私達はどこに逃げようか辺りを見渡す。
「リーティエ、あれ!」
そう言って今発車したばかりの馬車を指差す。
馬車に乗せてもらうのだろうか?
リックが走り出したので私も後追うように走る。
リックが馬車に近づくと馬車の後部に飛び乗った。
なるほどそうやって撒くのか。
私も馬車に全速力で近づいて飛びついた。
飛びついた時に落ちそうになったが、リックが腕を掴んで引っ張り上げてくれたのでなんとか掴まれた。
「リーティエ。お金。持ってる?」
リックは息を整えると私に黄土色のコインを持ってるか大声尋ねてきた。
私はずっと握っていたコインを見せた。
リックは親指を立てて、私に見せた。
それはいったいどうゆう意味なのだろうか?
それから馬車が止まるまで親指を立てた意味を教えてもらった。
どうやら良しという意味らしい。
馬車が止まると私達2人は降りて急いで物陰に隠れた。
「リック。この後。どうしよう。」
彼にこの後の事を尋ねる。
「ミッド。アン。2人。合流。」
ジェスチャーを交えながらこれからの事を教えてくれた。
「分かった」
そう返事して合流のために歩き出す。
それにしても合流場所があるのだろうか?
歩きながら色々な事を教えてもらいながら合流場所へ向かった。
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遡ること、数分
馬車に飛び乗り、駅から離れていく2人をミッドとアンは見送った。
「あの2人大丈夫かな。」
アンが2人の事を心配する。
「リックがいるから大丈夫だろう。それよりいつもの所に行こう」
そう言って、ミッドは歩き出す。
それを追いかけるようにアンも歩き出した。
「それにしても金貨なんて運がいいね。」
「あぁ」
「リーティエが拾った時はもう袋叩きにあうかと思ってヒヤヒヤしたよ。」
「あぁ」
「でもあの子のあの身のこなし凄かっ-」
「アン!」
ミッドがアンの言葉を遮るように呼ぶ。
「せっかく金貨が手に入るんだ。楽しみだな!」
「そうね。金貨で何しよう。」
それから金貨で出来る事を話ながら合流場所に向かった。
ミッドの燻る心を口に出さずに。
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しばらく歩いていると堀に囲まれた古びた建物に着いた。
「ここ。何?」
ミッドに尋ねてみる。
「救貧院」
そう返事をした。
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