第19話 道中の馬車にて

朝の9時


私達はチェスター達と一緒の馬車に乗り揺られながら目的地へと向かっていた。


「ふーやっと落ち着いて休憩が出来る。」


そうミッドが一言言うと馬車の壁によりかかる。

ミッドの気持ちもわかる。

何せ集合してから移動して荷物を馬車に乗せるのを私達総出で手伝いそれから門番にギルド票確認と息つく暇がない程大変だった。

ミッドは私達が持ってきたボロボロの麻袋から新しく買った水筒を取り出し‐


「おい。俺達も喉乾いてるし、後の行程考えて飲めよ。」


「わーかてるよ。」


そう言って水を少し飲んでラックに渡す。


「くくく、大変だったか。ガキども。」


そうチェスターが面白く茶化すように話す。


「何、まだまだ大丈夫だよ。」


ミッドが張り合うように返す。


「何、ここからは馬車に揺られてるだけだ。だがなここでも冒険者として大切な技能があるんだ。」


この場で大切な技能?それはなんだろう?


「はい。普段の発言が少ないフィル君!」


「なんだいきなり。」


チェスターがさっさと答えろという視線を飛ばす。


「えーと。そうだな。揺れに酔わない胆力か?」


「はい!ブー!違います!」


「どうやらこいつが言いたいのは飽きない話題だそうだ。」


そうウルファが口を挟んだ。


「お前の場合はただ退屈が嫌なだけだろ。」


そう重厚な鎧を着たハリーがいう。

何ーとチェスターがハリーを睨むが素知らぬ顔をする。

それなら私は手を挙げて質問をしようとする。


「お、なんだ?リーティエ。何かあるなら言ってみろ。」


「皆。武器。気になる。」


私はウルファが背負っている2本の剣以外に他3人が持っている見慣れぬ武器が気になり尋ねる。


「あれ?リーティエて杖の事知らなかったけ?」


アンがそう不思議な事を言う。

杖?下部は木製で出来ており、中間部は鋼鉄製の丸い何か付いており、そこから伸びるように金属の棒が伸びているのが杖?

私が不思議に思っているとチェスターが説明してくれた。


「おいおい、今時杖を知らないて余程の田舎から来たんだな。これは杖。正式な分類名は魔導杖だ。」


まどうじょう?またこの国独自の物か?

チェスターは自分が背負っていた杖を下ろし、私に見せてくれた。


「これはなここの丸い所、シリンダーていう所で魔石弾の尻を叩いて一気に出てくる魔力をこのバレルという金属の筒に従って押し出して飛んでいく武器だ。」

魔力を飛ばす?弓みたいな物だろうか?

それからもチェスターの説明は続く。


「ほら、これが魔石弾だ。」


胴体に付けたハーネスから何かを取り出し、弾いて私に渡す。

それをキャッチし、じっくり見る。

それは私の手のひらで包める大きさの円柱で全体を金属で包まれており、片方は少し窪んでおり、魔力を感じるから魔石と思う物が嵌め込まれている。もう片方には円状に開いた穴に光る石、その石からも魔力が感じれるから魔石なのだろう。


「ほら、そっちの薬莢のケツ側に付いてるのがプライマーでそこを叩くと小さな爆発が起きてもう片方の大きな魔石を刺激して魔力が出てくるて仕組みなんだ。それ1発だけで10回は魔力を発射出来る。」


へーそんな物があるんだと感心した。


「他にもフィルは偵察をやっているんだ。あいつが森の中に隠れたらなかなか見つからないんだぜ。そんなあいつが持っているのがボウガンだ。」


ボウガン?それは一体なんだ。


私が不思議そうにしてるとフィルがやれやれと言いながらボウガンを見せてくれた。

下部はさっきチェスターが見せてくれた杖と同じ木製出来ている。だが上部は弓のように糸いや、弦が張っていたが私の知っている弓のような木製の弓幹ではなく2つ鋼鉄製の滑車が付いた物になっていた。

私がじっくりとそのボウガンなる物を観察しているとフィルが説明をしてくれた。


「俺の役割は偵察だが大型の魔物が相手では戦い方を変える。主に奴らの動きを阻害する毒を注入する矢や派手に吹き飛ばす魔石の付いた矢を使う。俺からお前たちに言えるのは巻き込まれないように邪魔をしないようにするんだぞ。」


「フィル、ルーキーどもを脅かすような事を言うなよ。」


ハリーが嗜めつつ、話を引き継ぐ。


「俺は見て貰えばわかると思うが役割としては皆の盾兼重い一撃を繰り出す槍だ。俺の武器は盾とバリスタだ。」


そう言って見せてもらったのは右腕の籠手の側面に付いてる大型の箱型の複雑そうな物体多分魔導具て言ったけ?


「バリスタは凄いんだぞ!鉄の塊でも貫く事が出来るんだ!これで貫けぬ魔物と言ったら神話に出てくるドラゴンぐらいなもんだ。」


ハリーがそう豪快な口調で話す。


「最後に私の役割ですね。」


ウルファがハリーの話を引き継ぐように話す。


「私は魔物の痕跡を見て追跡、それがどんな魔物か識別するのが役割です。戦闘ではそうですね。杖て物に慣れなくてねこの鋼の剣と銀の剣を使い分けて戦うわ。」


「なんで剣を使い分けるんだよ。切れるならどっちも同じじゃねぇかよ。」


ミックがそんな疑問を投げかける。


「ふふ、それは違うわ。実は銀には魔を退ける力が備わっていて実際に魔力を多く持ってる魔物を斬る時、銀の剣で斬るとよく斬れるわ。でも銀は柔らかい金属だから使い方次第で簡単に曲がってしまうのよ。そこで硬い鋼の剣の出番。魔力を持たない魔物や人を斬る時は鋼の剣で斬るのよ。」


「さて、これで分かっただろ。戦いは俺たちに任せてお前たちは邪魔にならないように後方にいれば良いから。」


「あぁ、頼りにしてるぜ!」


その後も馬車に揺られながらさまざまな話をした。

途中休憩を挟みながら馬車は進み。

馬車は目的地の村に到着する。

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