第36話 行列のできるリモコン

 暗い映画研究の部室で、二人の男子生徒がブラウン管の画面を凝視している。


「なぁ、これ……」

「ああ、マジだ」


 白黒の映像は、かなり古いのか左右にノイズが盛大に入っている。リモコンでノイズを調整する。


「そのリモコンは?」

「売ってる店で行列のできるリモコン……」

「奇妙なリモンコンだな」

「ここ押すと拡大できるんだ」


 よくある汎用リモコンかなと思うが、画面を拡大できる……どんな仕組みなのだろう?


「モザイクも消せるんだ」

「いきなり怪しいな」


 しかし、消せた。

 神秘の世界が広がると腰がもぞもぞする。


「ここ押すと透けるんだ」

「え……?」


 断面図……そう、エロイラストでよくある断面図だ。あまりの生々しさに、吐き気を感じる。


「さらにここを押すと、没入型ディスプレイになるんだ……」

「なんだと……」


 二人の男子生徒が、その場で行為を見ている。手で触れられるような錯覚すらある。彼らは魅入られたように、布団の上の男女をみつめた……


xxx


「あら、今日は誰も居ないの?」


 女子生徒が部室に入ると、つけっぱなしのブラウン管TVがある。古い白黒映像の中で、二人の男子生徒が……

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