第6話 不思議ドライバー

「お客さん どこまでですか」

タクシーに乗ると俺は病院の名前を告げた

「このあたりは出るんですよ」

よくある話だ、道路に女が立っているとかだろう

「いいよ そんな話は」

バックミラーで俺の顔を見ると彼は納得している

「じゃあタクシー業界の不思議な話はどうですか?」

彼も退屈なのだろう、俺は黙ってうなずいた

「強盗の話ですけどね 同僚が若い二人連れを乗せたんですよ」

未成年の強盗事件か ニュースになっていた

「さみしい場所に移動させるとね 同僚を脅すんです 金を出せと」

彼は車を停止させると

「でも運転手はバールを出して そいつらを殺したんです」

運転席から身を乗り出すと長いバールで俺の頭を潰す


俺はバールを抜くと

「早く廃病院にいってくれ そこで仕事だ」

「頭のつぶれ具合がバツグンですよ」


タクシーの運転手はサイコパスで、不良を殺した後も客を襲って殺人を繰り返した。死刑になった筈だ。彼はこの界隈では有名な、幽霊を現場まで乗せてくれるナナフシギドライバーだった

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