第34話 返し
ひたひたと誰かがついてくる。ふりむくと誰も居ない。気のせいと思いながらも不吉に感じて
「ごめん たれかおるか」
下男が来ると思ったが、頭髪がかむろの女児が歩いてくる。無表情なまま、奥へ導くように進む。
「ここで待てば良いのか」
女児が無言でうなずくと広い板敷きの部屋に招き入れられた。板の上でしばらく待つと音も無く
「御用件を」
「かくかくしかじか、
「最近、貴方は歌を詠よみましたか」
予想外の質問に驚きながらも、
「すると
なら安心と思ったが
「娘にそれほど嫌われましたか」
「呪いを返すために歌を詠よんでください」
役人は
思い人 愛しきひとに そでにされ いらぬ思いは ゆめとわすれる
「もう隣家の娘に興味はありませんか」
「ありません、嫌いなら嫌いと
下級の役人ごときに歌を詠よまれて憎まれたのだろうと笑いながら代金を払い、
翌日になると、
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