第27話 ウミガメ
水平線はとても遠く感じる。漂流してから何日目だろうか? 小型のプレジャーボートが霧に包まれると無線もGPSも使えない。
「水が足りないか……」
釣り道具はあるが遠洋なのか魚がいない。俺は死を覚悟した。100年以上前にも太平洋で遭難した漁船が死の船となってアメリカまで流れ着いた話もある。
釣り糸を垂れながら、ぼんやりしていると海亀だろうか? 白い腹が見える。俺は魚を引き揚げる手銛でたぐりよせた。
人魚だ、美しい金髪と西洋風の顔はアニメみたいだ。
「ごめんなさい、霧で帰れなくなって……」
彼女も遭難していた。これはバミューダトライアングル的な事だと納得する。彼女は知性も人並みで意思疎通もできた。いつしか愛し合うようになる。水平線を見つめながらキスをする。
すべてが夢だ、こんな事実は存在しない。彼女を抱きながら飢餓を感じていた。
xxx
俺は霧が晴れるとGPSで戻れた。
「遭難中の食事は?」
「たまたま漂流したウミガメで助かりました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます