第17話 金持ち鬼 #爪毛の挑戦状

 赤鬼は人に好かれたい。自分が鬼というだけで嫌われるのは納得できない。人間達と親しくなりたい。


「青鬼さん、なんとか人間と仲良くなりたい」

 俺は親友の青鬼に相談をしてみると彼は一つだけ提案してくれた、自分が悪者になるので君が人間を助ければ良い。俺は躊躇ちゅうちょをした、それでは青鬼はどうなるのか? 青鬼が嫌われるし、自分も鬼だ、同族として見られる。


「それは危険な行為だ」

 青鬼も熟慮じゅくりょすると危険を理解する。鬼が人を襲うイメージを定着させるのはまずい。鬼は人間の味方だ、そう信じさせれば良い。


◇◇◇◇


「熊が人を襲って困る」

「妊婦が食われたそうだ、恐ろしい」


 俺は人間達の前に現れる、彼らは恐怖で凍り付くが俺は安心させた。

「俺が熊を退治してやろう」

「え? 鬼さんが? 」


 人間達は最初は信用をしなかったが、俺は彼らのために働いた。そして報酬を貰えるようになる。彼らと金でつながる。


◇◇◇◇

 

「そんなに儲かるのか? 」

 青鬼は不思議そうに、金のつまった壺を見ている。はした金でも、たまれば大金だ。そして金持ち鬼になった、俺は稼いだ金で人間達を集めて饗宴きょうえんを開く。恩返しだ、人間は喜んだ。


 報酬を貰う、還元する。循環する事が大事、俺は社会を回す、橋を作り、堤防を作り、外敵から守った、人間達は俺に依存した。金を払うのは当然に感じる。青鬼は俺の事を賞賛しょうさんする。


「お前は本当に人間が好きなんだな」

「大好きだよ、次からは人間の娘を提供してもらう、食うために」

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