第4話 忙しい地獄

今日は分陀利地獄(ぶんだり)の当番だ。俺はいろいろな地獄を回りながら仕事をする。「亡者を責めるのも飽きたな」鬼でも同じ事の繰り返しは飽きる。無限の時間を使い亡者をいじめ抜く。それが仕事だ。分陀利地獄(ぶんだり)は頭を割って脳みそをへらで綺麗にそぎ落とすのが仕事だ。仕事が終わると俺がふりかえるとよみがえる。亡者を捕まえて同じ事をする。


亡者の頭を爪のある手で鷲づかみにする。頭を片刃の刀で丸く切る。頭蓋骨をむき出しにしてノコギリで切るのだ。その間は亡者は目鼻から血を噴き出しながら泣き叫ぶ。たとえば読者の君たちがジャガイモを切ってる時にわめきだしら?うんざりするだろ?俺も今はそんな気分だ。


俺は途中までの仕事を放り出した。さぼる事にした。延々と同じ事をするのは鬼ですら苦痛だ。これでは亡者が地獄なのか、俺たちが地獄なのか判らない。しばらくほっとくと後ろがうるさい。俺はふりむいた。大量の亡者が正座をしている。俺は仕事の遅延のため地獄のように働いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る